バスクララ

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君は元気があって愛くるしくて、その上困っている人のことを放っておけないお人好しでもあったね。
君のその笑顔や心根に魅了された人々が君を崇拝しだしたのは時間の問題だった。
……まさか、一国の王や王妃までもがそうなるとは思わなかったけど。
それまで信仰していたはずの神をあっさり見限り、君を唯一神だと言い出した。
民衆は大いに盛り上がった。なんたって神がすぐそこに実在したと太鼓判を押されたようなものだからね。
君はこの状況を戸惑いながらも受け入れた。……受け入れてしまった。
……あそこで否定していたら、何かはきっと変わったかな。
それとも今みたいに過激な信者が『あなたはそんなこと言わない』と君に酷いことをしたかな。
……君を受け入れない人がどうなっているのか、それは君の耳にも入っているだろう?
だからこそ、こうして暴動が起きてしまった。
……そうだね。信者たちはともかく、他国から見たら僕は英雄になるのだろう。悪神を討った者として。
君自身は悪いことしてないのにね。いや、何もしていないことが既に悪いことだったのかな?
答えはもう、誰にもわからないけどさ。
……はは、無駄話を続けるならさっさと斬れ、か……
そういうところ、思い切りがいいよね。命運が尽きる局面にいるっていうのにさ……
ああ……じゃあ……最後に言わせてよ。
僕の好きなただひとりの君へ。……愛してたよ。
……さよなら……っ!

1/19/2025, 1:01:58 PM