これまで辛いことや悲しいことばかりあった。
楽しいことや幸せだったことは、それらに押し潰されて消えてった。
こんな人生もういやだけど、私の立場がそれを許さない。
私は巫女。お飾りの巫女。
人々の悩みも聞くことはない。神の声を聞いて政もしない。
ただ責任を押し付ける先として私は存在する。
だけど、民はそれを知らない。
全ては私が主導でやっていることだと信じている。
だから知りもしないこと、やってもないことで怒られたり石を投げられたりする。
私はただの人でありたかったけど、鍵に選ばれてもいたからそんなのは夢物語だった。
……ねえ、私に同情してくれるのならあなたの手で私の生を閉ざして。
どうだっていいの、もう。
未来への鍵を持っていたってしょうがないの。
あなたが有効活用してくれるなら、私はそれで充分。
世界を救うもよし、滅ぼすもよし。
あなたの好きにして。
歩いている時にふと思った。
隕石って星のかけらみたいなものだよなあ……と。
隕石にはそれほど興味もないけれど、星のかけらと聞けばなんかちょっといいなと思う。
だからといって興味爆上がりということにはならないけど。
自分の弱点は何かと訊かれたら、私は迷わず英語もしくは外国語と答えるだろう。
授業態度だけが良くて、他は軒並み壊滅的。
成績はいっつも2。
そんな私だからRing Ringを見た瞬間、指輪指輪だと思ったのは仕方のないこと。
だけど知らない言葉だから調べて、どんな意味なのかを知った。
電話のリンリンという音、だそうだ。
知らない知識が増えて私はまた一つ賢くなった。
……はずだ。
めっちゃ恥ずかしい……
まさか、まさかのまさかだよ……!
強い追い風にあおられて転んじゃうなんて……!
うぅ……周りの冷たいような生暖かい目が突き刺さる……
どんだけ体幹弱いんだよ、私……
ヒザと手のひらめっちゃ痛い……
うわ、皮めくれてるし血も出てるよぉ……
家に帰ったら応急手当しないとなあ。
ばんそうこう……よりもガーゼの方がいいなこれ。
消毒液とかもあったっけ?
はあ……ドラッグストア行こ。駅近にあったはずだし。
……しかし、今日こんな不運があったから明日はとても良い日になるよね?
禍福はなんとかの縄のごとしって某鬼のアニメでも言ってたはずだし。
よし、そう思ったらなんか元気出てきた!
明日が楽しみだなー
君がそばにいるだけで僕は嬉しい気持ちになる。
ずっと君と一緒にいられたらどんなに幸福だろうか。
だけど、僕と君とでは大きな壁が存在する。
ずっと一緒になんていられない。
僕は犬で君は人間の赤ちゃんだ。種族も寿命も僕と君は違いすぎる。
君はこれから先たくさんの喜びや悲しみを知って大人になっていくのだろう。
その時、僕はおじいちゃんだ。生きているかどうかさえわからない。
君に出会えたことを心から嬉しく思う。
言葉は通じないけど想いは通じる。そう信じて僕は君にたくさん話しかけたりじゃれたりしているんだよ。
時には怖がらせることもあるし、ご主人から怒られることもあるけど、僕なりのスキンシップなんだ。
人間から見たら僕の生きる時間は少ない。それは僕もわかっている。
だからそれまでは君と一緒に遊んだり、散歩したり、どこまでも一緒にいたいな。