これまで辛いことや悲しいことばかりあった。
楽しいことや幸せだったことは、それらに押し潰されて消えてった。
こんな人生もういやだけど、私の立場がそれを許さない。
私は巫女。お飾りの巫女。
人々の悩みも聞くことはない。神の声を聞いて政もしない。
ただ責任を押し付ける先として私は存在する。
だけど、民はそれを知らない。
全ては私が主導でやっていることだと信じている。
だから知りもしないこと、やってもないことで怒られたり石を投げられたりする。
私はただの人でありたかったけど、鍵に選ばれてもいたからそんなのは夢物語だった。
……ねえ、私に同情してくれるのならあなたの手で私の生を閉ざして。
どうだっていいの、もう。
未来への鍵を持っていたってしょうがないの。
あなたが有効活用してくれるなら、私はそれで充分。
世界を救うもよし、滅ぼすもよし。
あなたの好きにして。
1/10/2025, 12:40:15 PM