恋人同士にとってイブの夜は特別な夜だ。
だけどそんな夜でも、彼女がただ隣にいて手を繋いでくれるだけで僕は満たされる。
甘い夜もプレゼントもいらない。ただこの時間がずっと続けばいい。
来年もこうして過ごしていたい。
そう願いながら彼女の額に口づけを落とす。
彼女は茹でダコみたいに真っ赤になって、恥ずかしがりながら今度は口にしてと小さな声でおねだりしてきた。
どうやらイブの夜は少し素直になるらしい。
彼女の新たな発見を嬉しく思いながら、僕は彼女の願いを叶えるのだった。
あたしは決心した。
サンタさんは子どもにしかプレゼントをくれない。
だったらあたしがお父さんとお母さんのサンタさんになる!
だけど、あたしはお父さんとお母さんが寝るまで起きてるなんてできない。その前に寝ちゃうわ。
だからお姉ちゃんに全部話して一緒にサンタさんになってもらうことにした。
でもプレゼント選びはあたしが決めたし、お金だってこれまでのお年玉から出した。
あくまでもお姉ちゃんはプレゼントを枕元に置く係なの! 本当のサンタさんはあたしなんだから!
……って言ったらお姉ちゃんってば、はいはいって笑ってた。
まったくもう、お姉ちゃんはサンタさんになれなくて悔しくないのかしら!?
もしあたしがそう言われたらめちゃくちゃイヤなのに!
……まあでも、準備はぜーんぶ整った。
あとはクリスマスを待つだけ。
お父さんとお母さんの反応が今から楽しみだわ!
お風呂からゆずの香りがすると、今年も終わりだな〜と思う。
年末年始は大忙しだ。大掃除に宿題、あと年賀状も書かなきゃね。
あと数日で今年も終わっちゃうけど、とりあえずはお風呂に入ってゆっくり休んで……
また明日から頑張ろう。
年賀状も宿題も大掃除も、明日の私がちゃちゃっと終わらせてくれるよ。
双子の姉と共に旅立って数年が過ぎた。
いろんなところに行った。大きな国から小さな村まで。
平和だったり、争っていたり……いろんな人がいた。
僕たちはそこでたくさんの人助けをしたり、事件に巻き込まれたり……様々な経験をした。
今度はどこに行こうか? そう姉に訊くと、彼女はにっこり笑って大空を指さした。
そういえばこの間、この世界で一番大きな国の図書館で古びた本を読んでたっけ。
昔から度々観測はされるものの、前人未到で何もかもが謎に包まれた大空に浮かぶ城の目撃集をまとめた本を……
あそこまでどうやって行くのか想像もつかないけど、姉のことだからそこまで行ける心当たりはあるのだろう。
そうでなくても、僕たちなら大丈夫。
二人で力を合わせればなんだってできる。
今までもそうしてきたんだから。
鳴り響くベルの音。誰かの結婚式が執り行われているらしい。
きっとそこには幸せそうに笑う新郎新婦と、二人を祝福する人たちがたくさんいるんだろうな。
いつか私もそうなれる日が来るのかな?
煌びやかなドレスを着て、艶やかにお化粧もして、隣には生涯を添い遂げる人がいる。
友達たちから祝福されて、二人で新しい家庭を築いていく。
健やかなる時も病める時も、死が二人を分かつまで愛を育んでいく。
いつか私もそうなればいいな。