バスクララ

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11/20/2024, 1:35:39 PM

その昔、ドラゴンは有り余る力を使って国をいくつも滅ぼし、村を焼き、数多の命を奪った。
長年続いた復讐と報復にいつしか疲れ果てたドラゴンは、人がいない火山を居住地と決め眠りについた。
それから数百年経ち、人々がドラゴンのことを伝説だと感じていた頃。一人の少女が火山へとやってきた。
少女は七つの頃からひとりぼっちだった。
自分に近づいた命は全て死んでしまう呪いにかけられてしまったからだ。
人も草木も動物も関係なく死んでいく様を見て、少女は生きていることが嫌になり、誰もいない火山へとやってきた。
そしてドラゴンと少女は邂逅し、互いに大きく驚いた。
ドラゴンはこんなところに人間の子供がいることに。
少女は自分に近づいても死なないドラゴンに。
やがて彼らは意気投合し、共に暮らすようになった。
しかし人間とドラゴン。一緒に過ごした時間は儚いものだった。
ドラゴンは毎年、己が朽ち果てるまで墓に少女が好きだった花を供えていた。
生きる時間の長さが違っても、種族が違っても、確かに彼らが過ごした時間は間違いなく宝物だった。

11/19/2024, 12:33:14 PM

真っ暗な部屋にキャンドルの灯りがつく。
辺りをオレンジ色に染めて、炎が揺らめく。
そこで私たちは手拍子しながら歌をうたう。
キャンドルが刺さっているのは白いクリームに彩られたホールケーキ。もちろんメッセージが書かれたチョコプレートもある。
そう、今日は誕生日。
愛しい我が子の五歳の誕生日。
やがて歌が終わり、我が子がフーッと火を吹き消す。
火が消えた後の独特なにおいと共に部屋が暗くなるがすぐに電気がつく。
一仕事終えた我が子は得意げに笑っていて、とっても嬉しいことが丸わかりだ。
私はキャンドルを引き抜いてケーキを切り分ける。
もちろん一番大きいのとチョコプレートは我が子に。
ケーキにかぶりついて口まわりをクリームだらけにしている我が子に夫が笑いながらウェットティッシュで拭き取る。
今日は幸せな日。
来年も同じような幸せが来るといいな。

11/18/2024, 12:11:18 PM

明日、俺はこの町を出る。
理由は大学が県外だからというのもあるが、一番の理由はあいつらだ。
学校で知らぬ者はいないほどのラブラブカップルだった。
彼氏の方も彼女を愛していたが、彼女の方がもっとゾッコンだった。それこそ、あなたがいないと生きていけないみたいな。
……それが現実になっちまうなんてな。
体育祭が終わってすぐだった。
彼氏が病気で死んじまった。
そこから彼女は学校に来なくなった。
彼女の友達に頼まれ、一緒に家までお見舞いに行った。
彼女は部屋にいた。でも、そこにはいなかった。
彼女は彼女の世界の住人になっていた。
……あれ以来、俺の心に大きなトゲが刺さったままで取れることはたぶんもうない。
彼氏と彼女にはたくさんの想い出があったはずだ。
それは容易に想像できる。
この町の至る所にあいつらのたくさんの想い出の欠片が散りばめられていると思うと、胸が苦しくなるようなどうしようもない気持ちに襲われる。
だから俺はこの町を出る。親には悪いがもう戻ることはないだろう。
あいつらのことを一生忘れることはできないから。

11/17/2024, 11:47:14 AM

冬になったら美味しいものたくさん!
お鍋にコーンスープ、ホットココアにホットミルク……
あ、シュトーレンとかウイスキーボンボンも美味しいよねー。
でも何より美味しいのは……寒空の下で食べるコンビニ肉まん!
おてて冷たい中ホカホカの肉まんを持って、フーフーしながら食べる。
口の中も冷たいからヤケドしそうになるけど、ハフハフ言いながら食べるのがまた美味しいのよね〜。
……あー、思い出したら食べたくなってきちゃった。
早く冬にならないかなぁ。

11/16/2024, 11:16:45 AM

『大丈夫。私とあなたはまたくっつくから。
今はこうしてはなればなれになってるけど、私はまたあなたの元に行くわ。
だから心配しないで。
そんな保障はどこにもないなんて……随分悲観的ね。
ほら思い出してみて。私がここに来てから一日以上あなたとくっつかなかったことなんてなかったでしょ?
もう……わかってるけど早く来てなんて、あなたってば心配性なんだから。
そういうところも可愛いんだけど、でもだーめ。今はまだその時じゃないの。
あと数分待ってね。愛しい愛しいあ・な・た!』


……っていうキッチンタイマーと冷蔵庫の恋愛もの考えたけどどう? 薄い本のネタになるかな!?
……え? 上級者すぎて上手く描けそうにない?
いやいやいや、全然上級者じゃないよ!
ほら、はなればなれになっちゃって、でも自分では動けないけど互いを愛し合ってる男女のお話だから普通の話じゃん!
……ってえ? なんで後ずさるの?
え、どこ行くの!? ちょ待ってよー! ねえってばー!

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