その昔、ドラゴンは有り余る力を使って国をいくつも滅ぼし、村を焼き、数多の命を奪った。
長年続いた復讐と報復にいつしか疲れ果てたドラゴンは、人がいない火山を居住地と決め眠りについた。
それから数百年経ち、人々がドラゴンのことを伝説だと感じていた頃。一人の少女が火山へとやってきた。
少女は七つの頃からひとりぼっちだった。
自分に近づいた命は全て死んでしまう呪いにかけられてしまったからだ。
人も草木も動物も関係なく死んでいく様を見て、少女は生きていることが嫌になり、誰もいない火山へとやってきた。
そしてドラゴンと少女は邂逅し、互いに大きく驚いた。
ドラゴンはこんなところに人間の子供がいることに。
少女は自分に近づいても死なないドラゴンに。
やがて彼らは意気投合し、共に暮らすようになった。
しかし人間とドラゴン。一緒に過ごした時間は儚いものだった。
ドラゴンは毎年、己が朽ち果てるまで墓に少女が好きだった花を供えていた。
生きる時間の長さが違っても、種族が違っても、確かに彼らが過ごした時間は間違いなく宝物だった。
11/20/2024, 1:35:39 PM