髪弄り

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2/25/2023, 9:18:29 AM

泡立つ小さな海の上、二匹の魚が泳いでました。

「何を大事に持ってるの?」
大きな魚が言いました。

「私の可愛い子供なの、水草まで運ぶのよ」
小さな魚は、水草に着くと
お腹の粒をくっ付けます。

水に揺られるその様は。まるで小さな海ぶどう。気づいた生き物やってきました。

「それは何なんですか、メダカさん、小さくてとっても美味しそうですね」

貝殻背負ったタニシは言います。

「これは私の大事な子、だれにだって渡しません」

「でもオイラはいつもカビばかり、下手くそなキャンバスの上を這って食べてる。
たまには良いじゃないですか」

「お前をミジンコみたいに食ってやろうか」
光のない目に驚いて、タニシは逃げていきました。

次に来たのは、小さな小さな赤虫でした。

「メダカさん、メダカさん、俺はいつもあんたたちの出した汚いもんを食べてます。

しかも俺らはあんたに喰われます。

そりゃ他所もんなんで、嫌われんのもわかります。でも、俺らも生きてる。好きもん食べたい、おそそわけダメですか。」

パクりと赤いの食べながら、
大きい魚が白い煙を吹き出します。
卵はきらきら輝いて、小さな瞳を覗かせます。

「やっと準備ができました」

「いつも飽き飽きミジンコおさらば、
動かないのはスリルもない。
動かないから、あいつらに食われます。」

「ありがとう、あなたもよかったらお一つどうぞ」

巨大な影が現れて水草を取り上げました。
二匹は素早く逃げたのでした。


【小さな命】

2/24/2023, 10:06:01 AM

「愛してる」「かわいいね」「君が好き」
安っぽい言葉に流されて、彼と恋をした。

共通の趣味、まあまあの容姿、
自信のない私の依り所、
毎日、話した。毎日笑った。

次第に支配の言葉が増えた。
「ああしろ」「こうしろ」

あなたは私の父ですか?

理解したいとか、心がわかるとか、
大嘘つくのやめてください。

口だけのおまえは、
とうとう私を捨てました。

「自分を大事にしろ」

その台詞、世界で一番大嫌い。
【love you】(Love you!)

2/22/2023, 6:05:16 PM

浮かぶ閃光
紅く照らすそれは、まるで太陽のよう。

照らした先は、瓦礫と死と灰の山

多くの産声が、熱い熱いと嘆いても、

溶けた皮膚、渇いた喉は戻らない。

「だれか助かったの?」
「一人もいないよ」

荒野は何処までも続く。

【太陽のよう】

2/20/2023, 1:34:41 PM

幽霊街の一幕。

豪胆な幽霊
「産まれられなかった!そりゃ可哀想だ。
生きてりゃ、良い事あったのに、
まあ次の輪廻に期待だね!」
ん?あたしゃ違うよ、新しい街にいるかもしれんね」

新しい街。

ぐちゃぐちゃ幽霊
「産まれられなかった!俺も俺もさ、
万能だの何だの言われ、みんなに期待された!でも、嘘だの何だの酷い話、作った責任とって欲しいもんだ!
ん、いやいや俺は違う、すまねぇな坊、
古い村ならいるかもしんねぇ」

古い村

沢山の尻尾、綺麗な耳の幽霊
「わしはもう歳でな、何千年生きたが、悪いことして捕まって、結局ここに落ち着いた。
お主の探し人が見つかろうがなかろうが、
それは変わらん。残念だが、諦めよ」





知らない場所

五十代や四十代
「ねえ聞いた?画家の娘さんの話」
「ええ、何でも流れたそうじゃない」

「それ以上のすごい話、なんでも死んじゃったらしいの、残ってたのは何を描いたかもわからない、キャンバスだけだったそうよ」

【同情】

2/19/2023, 2:08:52 AM

「ああ、今日も書けんかった」
”世界で一番”という題材は、いつの間に別のに変わってた。

「数で支配者決める神様と、その動物たちの話、結局、DNAが一番多いことにして、
オチつけるまで決まってたのに、流れちまった」

なんだかやる気もなくなった。
そもそも、ここ最近、アイデアが頭に浮かぶだけで、形にすんのが上手くいかん。

なんか良いのできても、それが正しいんか、いちいち調べてる。
誰もそんなの気にせんのに、リアリティの奴隷とはまさしくこの事。

「今日はもうええわ、明日、題材書けばええ」

読書を済ませ、出来もしない予定を胸に、寝入るのだった。

【今日にさよなら】

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