泡立つ小さな海の上、二匹の魚が泳いでました。
「何を大事に持ってるの?」
大きな魚が言いました。
「私の可愛い子供なの、水草まで運ぶのよ」
小さな魚は、水草に着くと
お腹の粒をくっ付けます。
水に揺られるその様は。まるで小さな海ぶどう。気づいた生き物やってきました。
「それは何なんですか、メダカさん、小さくてとっても美味しそうですね」
貝殻背負ったタニシは言います。
「これは私の大事な子、だれにだって渡しません」
「でもオイラはいつもカビばかり、下手くそなキャンバスの上を這って食べてる。
たまには良いじゃないですか」
「お前をミジンコみたいに食ってやろうか」
光のない目に驚いて、タニシは逃げていきました。
次に来たのは、小さな小さな赤虫でした。
「メダカさん、メダカさん、俺はいつもあんたたちの出した汚いもんを食べてます。
しかも俺らはあんたに喰われます。
そりゃ他所もんなんで、嫌われんのもわかります。でも、俺らも生きてる。好きもん食べたい、おそそわけダメですか。」
パクりと赤いの食べながら、
大きい魚が白い煙を吹き出します。
卵はきらきら輝いて、小さな瞳を覗かせます。
「やっと準備ができました」
「いつも飽き飽きミジンコおさらば、
動かないのはスリルもない。
動かないから、あいつらに食われます。」
「ありがとう、あなたもよかったらお一つどうぞ」
巨大な影が現れて水草を取り上げました。
二匹は素早く逃げたのでした。
【小さな命】
2/25/2023, 9:18:29 AM