真昼の暖かな光は、僕には眩しすぎるから。
どんぐりの木の下で、ちょっとひと休み。
木々は光を浴びようと、めいっぱい葉っぱを広げている。
硬い殻に覆われた白い実も、いつかそのひとつになるんだろう。
お気に入りの帽子をしっかり被って、俯いてさえいるのに、なぜだかとっても目が眩んだ。
(日陰)
クラスメイトに、いつも黒いキャップを被っている男の子がいた。
彼は眩しいのが苦手で、教室の明るさでもダメらしい。
確かに、いつも俯きがちだし、誰も彼の目を見たことがないらしいし…
と、みんながみんな、ほどほどに納得しつつ、ほどほどにふしぎがっていた。
それなら色メガネとかでもいいんじゃないの?と聞いてみたけど、「上に隙間があるからよくない」と返された。
頭からすっぽりじゃないとダメなんだって。
ある放課後、夕日が差し込む教室に彼がいた。
珍しく帽子を外して、あちこち探っている。
きっと、誰かが帽子を隠すなんてイジワルをしたんだろう。
声をかけると、彼はこちらを向いた。
瞼を固く閉じたまま。
「もしかして、今までずっと目を瞑ってたの?」
「うん、帽子がないと眩しいから」
そういう彼に、運動帽を貸してあげた。
すると、彼は飛び上がらんばかりに驚いて、喜んで、その拍子に目を大きく見開いた。
ラムネ瓶みたいな色だった。
(帽子をかぶって)
窓際の席。風の強い日。
換気をしようのポスター。
照らされた黄色い生地と、日陰の黒板。
きいろ、みどり、きいろ、きいろ、みどり…
まぶしい、くらい、まぶしい、まぶしい、
くらい、くらい…くら……くら………
踊る布と同じくらい、気分もふんわり夢心地。
あ、前の席の子に窓閉められた。
カーテンはすっかりしぼんで、
その後ろにいた先生がこっちを見て……
やっぱり怒られた。
その間、カーテンは素知らぬ顔。
きっちりと結ばれ、どこかりりしい。
子供をからかうおじいちゃんみたいだ。
いつまでも守られてると思うなよって?
やかましいわ。
魔王をやっつけて、
王国に戻ってきた勇者たちが、
お祝いパーティをした後、
真の魔王に襲撃されるみたいに。
頑張って、ほっとしたら、
もっと頑張らなくちゃいけないような、
そんな気持ちになる。
だから、いっぱい休んで、
もっと頑張るの階段を、
低く低くしていきたい。
裏ボスも、すぐに蹴散らせるくらい……
もう会えなくなる貴方へ。
ひとりぼっちだった私を、
友達にしてくれた貴方へ。
レジンと、金色の歯車と、
感謝の気持ちを込めて。
素朴な木箱に包んだ、
小さなランタン飾りを贈ります。
どうか、これが。
貴方がこれからを生きて行くための、
力となりますように。