窓際の席。風の強い日。
換気をしようのポスター。
照らされた黄色い生地と、日陰の黒板。
きいろ、みどり、きいろ、きいろ、みどり…
まぶしい、くらい、まぶしい、まぶしい、
くらい、くらい…くら……くら………
踊る布と同じくらい、気分もふんわり夢心地。
あ、前の席の子に窓閉められた。
カーテンはすっかりしぼんで、
その後ろにいた先生がこっちを見て……
やっぱり怒られた。
その間、カーテンは素知らぬ顔。
きっちりと結ばれ、どこかりりしい。
子供をからかうおじいちゃんみたいだ。
いつまでも守られてると思うなよって?
やかましいわ。
魔王をやっつけて、
王国に戻ってきた勇者たちが、
お祝いパーティをした後、
真の魔王に襲撃されるみたいに。
頑張って、ほっとしたら、
もっと頑張らなくちゃいけないような、
そんな気持ちになる。
だから、いっぱい休んで、
もっと頑張るの階段を、
低く低くしていきたい。
裏ボスも、すぐに蹴散らせるくらい……
もう会えなくなる貴方へ。
ひとりぼっちだった私を、
友達にしてくれた貴方へ。
レジンと、金色の歯車と、
感謝の気持ちを込めて。
素朴な木箱に包んだ、
小さなランタン飾りを贈ります。
どうか、これが。
貴方がこれからを生きて行くための、
力となりますように。
制服を脱ぎ捨てて、私服に着替える。
学校指定のカバンから、
プリントファイルを引っ張り出す。
あと何回、これができるんだっけな…
「これから、どう学校生活を過ごして行くか」
について、原稿用紙3枚〜4枚程度で書きなさい。
そんなん、いつも通りに決まってんじゃん!
なんてツッコミはできない。
だって、いつも通りになんてできない。
透明なデスクマットの下。
もう4ヶ月も前の部活予定表が入ってる。
すぐ触れる場所のちっちゃい本棚。
教科書や参考書で、ほぼ埋まってる。
はぁーっ……こっからの学校に楽しみとか、
友達とかに会えるくらいしかないじゃん…
ふと、カバンでスマホがぶるると鳴った。
別の学校に通う友達からのLINEだ。
「進路決まったってね!おめでと〜!!」
……そういえば、高校受験の時もそうだったっけ。
あの時は、確か…
気がつけば、朝になっていた。
思わず机から飛び上がったけど、どうせ休日だし、作文の提出期限は1週間先。
はぁ…よかった……。
それに、昨日の夜に書いたノート、
ヨダレの餌食になってない。
進路先でやりたいことリスト。
ふと、後ろでスマホがぶるると鳴った。
あ……やっべ…
夢の中。
寝過ごしたあとみたいな、
こわ〜っとした音が頭の中で流れていた。
酷い頭痛。
それも忘れるくらい、
不思議で綺麗な光景が広がっていた。
空いっぱいの、緑の縁を持つ金字。
点と、線と、円とが規則正しく並んでいる。
星座円。時計。魔法陣。
真っ黒な草原に佇む自分は、
ただ、口を開けて眺めるしかなかった。
それ以降、明晰夢を見ていない。