何もかも手にしているのに孤独な君。
魅力的なその姿の裏に隠している大きな傷。
可哀想なほど愚かでずるい君は、私に似てきっと弱いのね。
でも大丈夫よ。
君がどんな罪を犯しても、
お揃いの罪を背負って一緒に地獄に堕ちてあげる。
___君と一緒に
誰かと比べて自分が優れていること。
人に羨ましいと思われる人生を歩むこと。
私にとって幸せとは、
いつも自分じゃない他の人の視線の先にあった。
でもそう、君に出会って知った。
他人の存在に依存する幸せほど脆く弱いものはないと。
自分が本当になりたい姿さえ知らないまま、
みんなが憧れる何かを惰性で目指すことの不幸さを。
自分を嫌い貶し続けて得た強さは、
何ひとつ救ってはくれない。
だからこそ、自分を尊重する心を忘れないこと。
誰かにとってじゃなく私にとって、
いつも誇れる自分であること。
前に進むために必要なのは自分を否定することじゃない。
少しづつ、自分らしく変わること。
君が好きだと言ってくれた私を、
私は消してしまいたくないから。
幸せ、それはどんな時も自分を愛し成長させられること。
そして人の幸せを願えるぐらい強く優しい人であれること。
幸せとは、きっとそういうもの。
___幸せとは
あなたと出会い、あなたに恋をし、
色んな初めてを経験した1年。
大人の世界の美しさと寂しさをこの目に映して、
知らない自分と出会った。
振り返ればなんだか、笑っている時間が多かった気がする。
こうやって歳を重ねていくほど自分が成長して、
関わる人が増えていくたびに少しづつ、
私自身が変わっていく感覚を覚える。
でもふと頭をよぎる存在が、
いまだに私の全てを握っている気がした。
だって記憶を辿ればそこにはいつも、
君を失ったあの頃の私とそっくりの自分がいるんだもの。
あぁやっぱり、人は簡単には変われないのね。
君はとっくに捨てたのに、
私は君みたいに強くなれなかった。
この1年で私は君じゃない別の人を好きになった。
なのにいつもどこかで君の面影を探し続けていたんだから。
もうすぐ年が明けるのね。
やっぱり今年も、君は戻ってこなかった。
___1年を振り返って
変わってしまったのは君だけじゃない。
変わってしまったのは、きっと私も同じ。
___変わらないものはない
あなたと見たあの大きなクリスマスツリー。
あなたと歩いたこのイルミネーションが照らす道。
私の冷たい手を包み込むあなたの大きな手を、
こんなにも温かいと感じたのは初めてだった。
私の先を歩くあなたの逞しい背中に、
これほど安心したのはいつぶりだろう。
その瞳に私だけを映し出して、
私のことだけを考えて微笑むあなたを、
私は久しぶりに思い出した。
やっぱり、ずるい人ね。
少年のようなその無邪気な笑顔で、
一体いくつの嘘を無かったことにするの?
何もかも忘れさせてしまうような優しい手つきの裏に、
一体どれほどの闇を隠しているの?
私を惨めにさせるのが得意なあなたは、
私を喜ばせるのも上手ね。
だから私はいまだにあなたを捨てられないのよ。
ねぇ、私たちみんなからはきっと
普通の幸せそうな恋人に見えるんでしょうね。
それならいっそこの聖なる夜くらい、
みんなのように私のことも騙して。
本物の恋人にはなれないんでしょ?
こんなにも特別な日にかぎってあなたは、
私に口付けすらしないものね。
___イブの夜