あなたと見たあの大きなクリスマスツリー。
あなたと歩いたこのイルミネーションが照らす道。
私の冷たい手を包み込むあなたの大きな手を、
こんなにも温かいと感じたのは初めてだった。
私の先を歩くあなたの逞しい背中に、
これほど安心したのはいつぶりだろう。
その瞳に私だけを映し出して、
私のことだけを考えて微笑むあなたを、
私は久しぶりに思い出した。
やっぱり、ずるい人ね。
少年のようなその無邪気な笑顔で、
一体いくつの嘘を無かったことにするの?
何もかも忘れさせてしまうような優しい手つきの裏に、
一体どれほどの闇を隠しているの?
私を惨めにさせるのが得意なあなたは、
私を喜ばせるのも上手ね。
だから私はいまだにあなたを捨てられないのよ。
ねぇ、私たちみんなからはきっと
普通の幸せそうな恋人に見えるんでしょうね。
それならいっそこの聖なる夜くらい、
みんなのように私のことも騙して。
本物の恋人にはなれないんでしょ?
こんなにも特別な日にかぎってあなたは、
私に口付けすらしないものね。
『イブの夜』
12/24/2024, 6:23:49 PM