流星群、それは希望を見せる
満月、それは絶望を自覚させる
夕日、それは癒しになる
新月、それは孤独を引き立たせる
夜明け、それはアイデアの宝庫となる
丑三つ時、それは記憶を封じる
星空、それは人生を彩る
【星空】
体に浮遊感を覚える。
私の頭はそれがあり得るはずのない感覚だと訴える。
私はその訴えを認めたくなかった。
この状態はあり得るはずがなかったから、あって欲しくなかったから。
私はいつも通り魔法の箒で学校に向かう。
今日は魔物退治がある。人手が足りないらしく学生も報酬をもらい魔物退治ができるように最近決められたそうだ。
万年金欠の私にとってはとても嬉しいニュースだ。
早速申し込んだ。それが今日だ!
学校側も色々用意してくれて、無駄にお金を使う必要がなく、本当にありがたかった。
魔物は東の森にいるらしく、早速箒で向かった。周りを見渡しながら攻撃魔法の準備をする。
だが私は真下を見ていなかった。
突然箒が真っ二つに折れ、落下する。
パニックになり低速落下の魔法をかけようとすると杖を魔物の触手に飛ばされる。
森の木が近づいてくる。
手の届く範囲には折れた箒。
もう私は思考することができなくなってきた。
一年前、私は彼女と別れた。
両片思いだったようだが、生活ができないほど落ち込んではいない。これで良かったと思っている。
一年前、私は彼女と旅をしていた。旅というか放浪というか怪しかったが、2人でテントで休んだり、怪しいキノコを食べたり、街を観光したり、とてつもない魔力を纏う魔導書に触れたり、世界の深淵に触れるようなこともあったが、問題なく仲良く旅をしていた。
ずっとこのまま2人で旅をすると思っていた。
だが彼女は魔力に弱い体質だということを私も彼女も知らなかった。魔力ら少しずつ彼女の体は蝕んでいたのだ。
彼女の不調に気づいてすぐ、医療や魔法が発展している大きな街に行った。
症状が出た頃には少し遅く、彼女は5年から7年療養しなくてはならなかった。
私は、その間ずっと彼女のそばにいようと思っていた。
だが彼女が、私にはずっと旅をして、私の病が治ったらそれまでしていた旅の話を聴かせて欲しい、一生のお願いと言った。
とても後ろ髪を引かれたが、彼女が一生のお願いと言い、何度もお願いをされたら、行くしかなかった。
彼女が亡くなったときいたのはそれから3ヶ月。
旅をするのはやめ、街から少し遠い場所に家兼魔導店を作った。
ゆっくり時間の流れを感じながら毎日を過ごしている。
彼女のところに逝こうとも思ったが、許されないよなと思い、やめた。
自然や、大好きな魔道具に囲まれながら過ごすのはとても楽しい。
だがふとした時、涙がこぼれてしまう。
自分の心を取り繕うのは大変だなと感じる。
このままここで彼女に会えるまで、ゆっくり過ごしながら待とうかなと考えている。
『一年前』
掃き出し窓の近くに椅子とサイドテーブル。
それとコーヒー、これは積まれた小説を読み溶かすときには必須だ。
晴れの日でも雨の日でもコーヒーの香りが広がる空間
は気分を落ち着かせてくれて。
私はこんな時間を大切にしたい。
私は自他共に認める偏食家。
たとえば何が嫌いかというと、苦いもの、甘ったるいものほぼ全般が嫌いだ。
苦いものは私の気分を下げるし甘ったるいものは舌が拒絶反応を示す。
周りには大損をしていると言われるが別に偏食について困ったことはない。
いや、ひとつある。
それは同じクラスのあいつだ。
あいつは苦いし甘いし私の大嫌いな要素を持ち合わせている。
私に甘く接してくる、かと思えば冷たい反応を返してくるし私以外と話している。
私にシャンプーの甘い香りを振り撒いてくる。
いつもは吐き気がするがそいつだけは心拍数が上がって抑えられない。
本当に困ったものだ、どうしたらいいんだ。
『好き嫌い』