NoName

Open App
4/9/2026, 4:56:14 PM

「だれよりもずっと」


いつか書くため保存。今日は休みます

4/8/2026, 4:33:14 PM

「これからもずっと」

口から言葉が溢れていく。感情はない、ただ機械的な音はどこか不自然で不気味で。だからこそそっと気付かれぬよう笑顔で取り繕うのだ。
「いらっしゃいませー」
「袋ください、あと箸」
「袋は一枚でよろしいですか?」
「はい」
「箸は何膳ごりようですか?」
「ふたつ」
「二膳ですね、かしこまりました」
果たしてこのセリフは私が言っているのだろうか。
隣のレジのバイトの言葉だろうか。はたまたその隣の?
その問いに答えるものはいない。
「ありがとうございましたー」
語尾が不自然な笑顔を誤魔化すように間延びする。適当な会釈が終わる前に視線は次の客の方にあった。
次もまた同じ言葉を繰り返す。
変わるのは客の顔だけだ。しかし、その判別も曖昧で不明瞭で同じ客がなん度も入れ違いに並んでいるだけと言われても不思議に思わないだろう。
これが1日ずっと続く日々を、過ごしてきた。今日も明日も明後日も、来年も再来年もその次もそうだろう。

いつまでもこれが続くのだろうか。
その問いを思い浮かべるたび薄寒い恐ろしさを感じる。
しかし、同時に浮かぶ疑問がある。もしも続かなくなったら? 
そうだとしたら…考えるだけで心が潰れそうになるのだ。続くことより、続かなくなることが怖い。
こんなに恐ろしいから、きっと私は数十年後も同じ景色の中にいるのだろう。
私のものではない言葉を唇に刻みながら。

4/7/2026, 12:30:04 PM

「沈む夕日」

じりじりと容赦ない日差しが頬を焼いていた。
早く暗くなればいいのに。真っ赤な空を睨んで制服姿の少女、奏は苦々しい舌打ちをこぼす。
夏の湿度を含んで重たい空気は粘っこく喉に張り付いて息がしづらい。奏は頬を伝う汗を手の甲で拭った。
ギィ…、その動作に合わせて、ブランコが軋む。ところどころ塗装が剥がれて赤ちゃけた遊具は奏の体には小さすぎるのだろう。少しの身じろぎで大袈裟な音を立てた。
大きなため息をつくとともに、鉄臭い匂いが奏の制服の裾を擦った。
「あっつ……」
唸るような囁きは、夕暮れの寂れた公園に吸い込まれて消えた。
応えるものはいない。今はまだ。
「なにが、日が沈んだら会いましょうだよ。時間をはっきりと言え馬鹿」
スマホの電子版に目を落とすが、そこに映る数字は待ち人の来訪とは無関係だ。
顔を上げる。頭上はまだ赤く、無機質に立ち並ぶ町の屋根の上に太陽は居座っていた。奏は溶けたようなオレンジ色を、睨む。

夕日が沈むまであと……