「これからもずっと」
口から言葉が溢れていく。感情はない、ただ機械的な音はどこか不自然で不気味で。だからこそそっと気付かれぬよう笑顔で取り繕うのだ。
「いらっしゃいませー」
「袋ください、あと箸」
「袋は一枚でよろしいですか?」
「はい」
「箸は何膳ごりようですか?」
「ふたつ」
「二膳ですね、かしこまりました」
果たしてこのセリフは私が言っているのだろうか。
隣のレジのバイトの言葉だろうか。はたまたその隣の?
その問いに答えるものはいない。
「ありがとうございましたー」
語尾が不自然な笑顔を誤魔化すように間延びする。適当な会釈が終わる前に視線は次の客の方にあった。
次もまた同じ言葉を繰り返す。
変わるのは客の顔だけだ。しかし、その判別も曖昧で不明瞭で同じ客がなん度も入れ違いに並んでいるだけと言われても不思議に思わないだろう。
これが1日ずっと続く日々を、過ごしてきた。今日も明日も明後日も、来年も再来年もその次もそうだろう。
いつまでもこれが続くのだろうか。
その問いを思い浮かべるたび薄寒い恐ろしさを感じる。
しかし、同時に浮かぶ疑問がある。もしも続かなくなったら?
そうだとしたら…考えるだけで心が潰れそうになるのだ。続くことより、続かなくなることが怖い。
こんなに恐ろしいから、きっと私は数十年後も同じ景色の中にいるのだろう。
私のものではない言葉を唇に刻みながら。
4/8/2026, 4:33:14 PM