百合

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5/27/2025, 5:38:44 PM

これで最後

女は時にわがままだ。
優しい人がタイプとか言っておきながら、バカ真面目な男には目も向けず、少し悪いところがある男の方へ走る。その先に自分が期待しているような、報われるような結末が待っていないのは分かりきっている。
でも、そんな恋を突然終わらせようとするのも女のわがままだ。
どんどん沼っておきながら、ふとこのままだとダメだと思って這い上がってくる。彼の甘い言葉に再び沼へ戻されそうになるけれど、なんとか自分を言い聞かせて本当の幸せを手に入れようとする。

まさに今、私は沼から抜けて幸せへと走ろうとしている。でも、これは自分の人生におけるある意味幸せで、苦しくて、報われなかった恋だから。あなたにとっては多くあるうちの一つかもしれないけれど、少しでも記憶に残してほしいから。私は突然裏切るような悪い女を演じる。許してね…これが本当の幸せを見つけられなかった私たちの最後だから

5/26/2025, 1:35:10 PM

君の名前を呼んだ日 

ずっと先輩呼びだった。
大学生の時に好きになったけど伝えられなくて先輩は卒業した。そしたら社会人になって偶然出会って、3回デートした。3回目の時に告白されるかなと期待してたけど、先輩から告げられたのは海外転勤のことだった。私はずっと好きだったし、一緒にいたかったけど、先輩はずっと海外での仕事を目指してたから応援するしかなかった。
あの日から2年。もう先輩を忘れようと思ってからも2年経った。大事な時期に先輩を思い続けるのは良くないと、色んな人と関わって、時には出かけたりした。
それでもドキドキも安心感も何もかも先輩に敵う人はいなかった。ある日サークルの飲み会があって行ってみると、先輩の話題になった。どうやら明後日、日本に帰ってくるらしかった。先輩と仲の良かった私の同期が私に5時の飛行機らしいよとそっと教えてくれた。
今さら会って何が起こるだろうか。なんて捻くれた考えを巡らせながらも、ありがとうと同期に伝えた。
そしてすぐに先輩の帰ってくる日になった。運がいいのか悪いのかその日は仕事が午後休みになっていた。
仕事から帰って、お風呂に入って、化粧をして、髪を巻いて…会えないかもしれないのに、会っても何も起きないのに
デートと同じように、いやそれ以上に気合を入れて空港に向かった。
先輩が出てくるであろうゲートの近くの椅子に座った。
向こうで彼女ができてるかもしれない。私の顔を覚えてないかもしれない。そんなことをぐるぐる考えながら先輩を待った。
するとゲートから多くの人がぞろぞろ出てきた。
さっきまで考えていたことなんか忘れて、ただひたすらに先輩を探した。
「あ…いた。」
色んな思いが込み上げてきて泣きそうになる。
それでも頑張って立ち上がって、先輩の方を見た。
先輩は私に気づいて驚いた顔をしながらゆっくり近づいてきた。
なんて言おう…おかえりなさい?お久しぶりです?
いや、私がまずいうべきは私が今まで言えなかった
あなたの名前だ。

5/25/2025, 10:55:07 AM

やさしい雨音

ぽつ…ぽつ…
わずかに聞こえる雨音で目が覚めて、ゆっくり目を開けた。
いつもは嫌いなこの音。
傘はささなきゃいけないし
濡れたら寒くなるし
洗濯物も乾かないし
…だからこの音はいいことが起きない証みたいなもの
でも今日は隣に君がいる
いつもなら夜帰るけど、帰らずに今も隣でぐっすり眠り続けている
この雨が止んだら帰ってしまうから、今はまだ止まないでほしい。
まだ私にやさしくいてほしい

5/24/2025, 5:00:43 PM

聞き覚えのある歌が娘の口から聞こえてきた
「かなり昔の曲じゃない?」
そう娘に聞いてみた
「うん、最近また流行ってるんだよ。サビの歌詞がいいんだよね〜」
と娘は答えてまた歌い出す。
さっきからサビの部分を何度も繰り返して歌っている。
ずっと聞いていると確か、そんな会話を自分が学生の時にしたような…と急に思い出した。
授業が終わったあとの講義室で、親友とイヤホンを分け合って聞いた。親友が「このサビがいいの‼︎」とリズムに乗りながら教えてくれた。そんな情景が再び思い出された。
娘も友達とそんな会話をしてるのかもしれない。
そう思ったらなんだか心が温かくなって、私は親友にランチのお誘いラインを送ってみたりした。

5/23/2025, 12:25:27 PM

あなたが出張でいない時
1人でご飯を食べて、ゆっくりお風呂に入って寝る支度をする。そして、もう寝るだけになった時、あなたが置いていった上着を羽織ってみる。
もちろんあなたが家にいて、抱きしめてくれる時の安心感とドキドキは比べようがないほど幸せを感じる。
でも、安心感と少しの寂しさはこれでしか感じることができない。
お仕事を頑張っているあなたへ
汚したり、シワになったりすることがないようにするから、この時だけは許してね。

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