百合

Open App

君の名前を呼んだ日 

ずっと先輩呼びだった。
大学生の時に好きになったけど伝えられなくて先輩は卒業した。そしたら社会人になって偶然出会って、3回デートした。3回目の時に告白されるかなと期待してたけど、先輩から告げられたのは海外転勤のことだった。私はずっと好きだったし、一緒にいたかったけど、先輩はずっと海外での仕事を目指してたから応援するしかなかった。
あの日から2年。もう先輩を忘れようと思ってからも2年経った。大事な時期に先輩を思い続けるのは良くないと、色んな人と関わって、時には出かけたりした。
それでもドキドキも安心感も何もかも先輩に敵う人はいなかった。ある日サークルの飲み会があって行ってみると、先輩の話題になった。どうやら明後日、日本に帰ってくるらしかった。先輩と仲の良かった私の同期が私に5時の飛行機らしいよとそっと教えてくれた。
今さら会って何が起こるだろうか。なんて捻くれた考えを巡らせながらも、ありがとうと同期に伝えた。
そしてすぐに先輩の帰ってくる日になった。運がいいのか悪いのかその日は仕事が午後休みになっていた。
仕事から帰って、お風呂に入って、化粧をして、髪を巻いて…会えないかもしれないのに、会っても何も起きないのに
デートと同じように、いやそれ以上に気合を入れて空港に向かった。
先輩が出てくるであろうゲートの近くの椅子に座った。
向こうで彼女ができてるかもしれない。私の顔を覚えてないかもしれない。そんなことをぐるぐる考えながら先輩を待った。
するとゲートから多くの人がぞろぞろ出てきた。
さっきまで考えていたことなんか忘れて、ただひたすらに先輩を探した。
「あ…いた。」
色んな思いが込み上げてきて泣きそうになる。
それでも頑張って立ち上がって、先輩の方を見た。
先輩は私に気づいて驚いた顔をしながらゆっくり近づいてきた。
なんて言おう…おかえりなさい?お久しぶりです?
いや、私がまずいうべきは私が今まで言えなかった
あなたの名前だ。

5/26/2025, 1:35:10 PM