霜川菜月

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9/20/2025, 1:16:05 PM

既読がつかないメッセージ


君とのトークルームを

開いては閉じ
開いては閉じ

この2時間で何度繰り返しただろう。
永遠のように長く感じるこの時間...
様々な妄想が頭をよぎる。

ま、きっと残業だろう。
飲みに誘われて断れなかったとか。
具合、悪くなったとかじゃない、よな。
まさかどこかで事...

あ〜〜〜、いかんいかん
どんどん悪い方へ考えてる。

つい先月まで一人最高!と思っていたのに
一体俺はどうしちまったんだろう。

“ピロン”
「返事遅くなってごめんなさい!
バッテリー忘れて充電切れてました!」

「お疲れ様!
謝らなくていいよ、全然大丈夫^^」

どうかしちまった自分に
思わず自分で笑ってしまった。

9/20/2025, 9:35:57 AM

秋色


「先生、葉っぱのおまじない知ってる?」

僕が開く絵画教室に来てくれる君を、
ずっと妹のように思っていた。

僕の知らないおまじないを叶えようと、
肌寒い風に舞ういちょうの葉を
一緒にダンスするように追いかける君が
なぜだか今日はスローモーションに見えた。

紅葉が深くなるように、
その残像は日に日に鮮やかになって
僕の記憶に焼きついてゆく。

いつものいちょう並木が
もはやまるで晩年のモネが描いた
バラの小道のようなオレンジや赤に変わり、

その中で舞い踊る秋色の天使のような君へ
僕はゆっくりと恋に落ちていったのだった。

9/18/2025, 12:12:09 PM

もしも世界が終わるなら


「聞いて聞いて!あの小説のタイトルなんだっけ、えーっとセカオワじゃなてくて...」

「あぁ、もし終わ?」

「あーそれそれ!あれ映画化するらしくてさ、推しが主演なんだ〜」

「あそうなん?私小説持ってるから貸そっか?」

「マジで!?神!あーでも先入観ない方がいいのかなぁ、悩むー!」

友人との会話は、今日も平和だ。

9/17/2025, 10:48:34 PM

靴紐


───インターハイ決勝

スニーカーにはアイツの靴紐。
夢はオリンピック出場だと、口癖のように言っていた俺の親友。

今はアイツの夢が俺の夢になった。

必ず優勝するから、見とけよ...!

結んだ靴紐に目配せして、
俺は走り出した。

9/16/2025, 3:07:17 PM

答えは、まだ


幸せへと向かうためには

正解がわからない選択を
いくつも迫られるけれど

君の手さえ離さなければ

きっと答えは、まだ
この手の中にある。

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