朝日が海を照らした
僕は薬を呑む
酒を慎みながら一人佇む
もう無理だ
もう駄目だ
生きられないの
生きられないから死ぬしかないの
静かに海に入る
白波が静かに立った
海は綺麗だ
それは分かっている
自分は綺麗なのか
海に入るのが綺麗なのか
死ぬのが綺麗なのか
僕には分からなかった
何も分からなかった
そのまま静かに倒れた
目を閉じてゆっくり堕ちてゆく
海底に墜ちてゆく
「表ばかり見ているのね」
「表は綺麗だからねえ、ついつい見て仕舞うのさ」
「たまには裏も見たら如何?」
「裏は綺麗なところなんて無い、醜くてどす黒い野望と欲望に塗れているだけだからね」
「表も綺麗じゃあない筈よ」
「…?」
「表の方が傷付いてボロボロで腐っている、それは裏よりも酷い、」
「そうかい、なら裏を見るとしようかな。人間の裏か、こりゃあ楽しみだ」
「ええ、人間の方が汚れているもの。表裏を見るのもたまには良いもんだわ」
そう言うとアナタは煙草を吹いた。
煙が静かに上って行った。
あなたは飛んだ
真っ逆さまに墜ちた
消えゆく笑顔と涙の雫
立入禁止のロープを潜って鉄線を掴む
防止なんて意味ないのに
意味ないのにさ
掴んだ手を離す
堕ちてゆく僕の姿と
泣き崩れた貴方の影
夕日は飛んだ僕を
照らしていた
馬鹿な人。
私は馬鹿だからいつまでも窮屈な生活をしている
誰も知らない秘密を抱えて生きている
誰も知らない 知らない 知る由もない
貴女は知らない。私の秘密
暗くてジメジメした影で暮らしている
狭いの、助けて、ねえ
もう無理だから耳を塞いだ。
壊れてゆく私の、私の、私の心
何故だか私は貴女の姿を見る度に虚しくなりました。
一緒にいる。一緒にいようね。なんて
ただの薄っぺらい言葉だったのですね。
涙を流すのは
貴女が居なくなってから流すことにします。
今泣いてしまったら、貴女にみっともない私の姿を見させることになるんですもの。
貴女をまだ愛していたのに。愛せていたのに。
私はまだ好きでした。だから貴女の言葉に乗せられてふらふら彷徨ったのです。
生涯、誰を愛せば良いのでしょうか。
まだ泣きたくなる瞼を閉じました