「表ばかり見ているのね」
「表は綺麗だからねえ、ついつい見て仕舞うのさ」
「たまには裏も見たら如何?」
「裏は綺麗なところなんて無い、醜くてどす黒い野望と欲望に塗れているだけだからね」
「表も綺麗じゃあない筈よ」
「…?」
「表の方が傷付いてボロボロで腐っている、それは裏よりも酷い、」
「そうかい、なら裏を見るとしようかな。人間の裏か、こりゃあ楽しみだ」
「ええ、人間の方が汚れているもの。表裏を見るのもたまには良いもんだわ」
そう言うとアナタは煙草を吹いた。
煙が静かに上って行った。
8/22/2023, 10:56:22 AM