コウ

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11/27/2023, 3:24:04 AM

茹だるような熱に侵され、体が動かない。
「季節の変わり目だものね」という常套句を言う家族を背に、私はベッドに蹲り、喉の痛みと熱に耐えるしかなかった。
風邪なんて引いたことなかったのに。痰の絡む咳を一つすると、我が家の猫が駆け寄ってきた。
熱に誘われてやってきたのだろうか。猫はこちらの顔を覗き込むと、堂々と私の体を踏み、そのまま座り込んだ。
猫は気楽でいいなあ。私はそっと猫の顎に手をやり撫でて、何回目かわからない眠りについた。

11/26/2023, 1:58:05 AM

太陽の下、砂浜で踊る2人の影。
お互いに、時が止まるほど強く惹かれあう。
「明日も来る?」彼女はそう言った。
僕はそっと頷く。
彼女は笑う。
照らし出す太陽も笑っているような気がした。

11/25/2023, 4:57:18 AM

寒い冬の朝、セーターを手に取った。
猫のアップリケが目立つそのセーターは、亡き母が編んだものだった。
最初はダサいだとか言っていたし、大人になったら着なくなってしまったが、未だそのセーターだけは捨てられない。
痺れる寒さに身を震わせながら、自宅用なら、と私はそのセーターを纏う。
次の冬の訪れを待ちながら、またこのセーターと冬を越すのだ。

11/24/2023, 3:23:12 AM

落ちていく。底はない。
浮遊感と重力の赴くままに、ただただ下へと向かう。
下へ。下へ下へ。
そこには何も見えない。ただ無の空間が広がっている。
私はどこへいくのだろう。そんなことを考える暇もないまま、虚空に吸い込まれるように落ちていく。
私の身体は次第に小さくなり、やがては点ほどの存在に成り果てた。
そうしてようやく私は気が付いた。
ああ、そうか。これが死だ。
これは私を終わらせるための穴なのだ。

11/23/2023, 5:24:15 AM

窓辺で夫婦は見つめ合い、笑顔を浮かべた。
互いの手を握り合いながら、「いつまでも一緒にいようね」と男は誓った。
喧嘩も泣き笑いも、共に乗り越えてきた二人。
その旅路で、少しづつ心が一つになっていく。
きっと夫婦の絆はそのまま未来へ続いていくのだろう。
幸せが溢れる日々が、二人を包み込んでいく。

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