落ちていく。底はない。浮遊感と重力の赴くままに、ただただ下へと向かう。下へ。下へ下へ。そこには何も見えない。ただ無の空間が広がっている。私はどこへいくのだろう。そんなことを考える暇もないまま、虚空に吸い込まれるように落ちていく。私の身体は次第に小さくなり、やがては点ほどの存在に成り果てた。そうしてようやく私は気が付いた。ああ、そうか。これが死だ。これは私を終わらせるための穴なのだ。
11/24/2023, 3:23:12 AM