人は自分の見た物しか信じないし感じない。
僕の見てる物は
キミに見えない
こんなにキレイなのにな
こんなにキタナイのにな
何で僕と君は
五感を共有出来ないのかな
スマホと言う機械では
指先一本で「共有」できるのに
機械を通した「共有」では意味が無いんだ。
一緒にその瞬間を同じ四つの眼で見られなくて
何を持って綺麗だなんて証明出来るの?
かなぁ。
だから僕は一人歌う。
悲しいから歌う。
そんな人間に囲まれて生きる人生と毎日を
楽しんでいる君達が羨ましく、眩しいから
歌うだけ。
そうして
誤魔化し、誤魔化し生きてかないと
死んじゃう気がしてならないんだ。
こんな僕の姿を見て「美しい」なんて
誰が言うだろうか
作った僕を皆欲するから、ブレス一つ。
外見を綺麗にする営みです。
題 美しい
著 塵芥椎名
「どうして」が行き過ぎると
何事も破滅するんだ。
子どもの「どうして?」と
大人の「どうして?」は違う。
純粋無垢に勝る知と感は無い。
題 【どうして】
躇 塵芥椎名
煩わしいなぁ。
何で私なの。
男脳と女脳の違いの誤算。
修正は不可欠です。
内心、あーもう!と思いながら
不愉快な笑みを浮かべ
ベッドから素足を出した。
ニルヴァーナには本日も至れず終いです。
「我の快楽、愉悦、とは」
猫のZIPPOを弾く
その音は子猫の鳴き声の様な。
つい先程…
ねぇ?貴方?と、
横目で寝顔確認安堵です。
どちらともない好意から合意の行為を
貴方の好きな好位で果たしつつ
空気は湿って濁って
たった今
私が吐き出した煙の様な…
そう、窒息しそうな空気。
その中にまだまだ居たかったなぁと
舌打ち一つ
灰がフローリングに落下。
鳥急ぎ、朝。
丁度良い所にあった。と、羽織物を手に取り
おもむろに手と頭を出す。
何年か前に
恋愛ごっこしてた相手に一言。
「頂戴?」と強請ったものだ。
黒の柔らかいセーター。
(大丈夫、メンズだから下は履かなくても見えないよ)
(似合うから、これとこれもあげるよ)
―そんな沢山要らないのに貰ってしまったのは何故?―
「懐かし」
匂いを嗅いでも
もう私の柔軟剤の香りしかし無いのが
少しだけ、ほんの少しだけ悔やまれた。
出会った初日にペアリングを買ったっけ。
当然目下行方不明逃走中です。
時効はいつだか忘れたシルバー。
―ペアリングって捨てる為に用意された小道具だ―
ミネラルウォーターを一気に流し込む。
そう、悲劇か何かの脚本家が―
私達に予め捨てさせる為に―
「ペアリング」と言う小道具を
用意させるように
どうにか仕向け
輪っかに薬指を通させたら
シメシメなぞと、安堵して
その光る小道具の出番が来るまで
息を潜めて、脚本家は待ってるんだ。
―まさに仕組まれた事実だ―
あぁ、そんな事を考えたいんじゃなくて!
捨てた指輪の数なんて数えようとしないでよ!
首を横に髪を振り乱し脳に鞭打ち。
生まれたその日から
用意されている
思考の馬車馬は良く言う事をきくんだもの。
(気性は荒いけどね、はは、そこがとても―)
「はいはい」と小さく一言零す。
太ももは少し肉付きが良くなった
ふくらはぎは変わりなし…と、
決して短くは無い私の足は
こんなにも冷えたフローリングの上に
当たり前に着地出来るのになぁ。
足は冷たくて固まるのに
私の頭は浮遊感で溶けそうだ。
―夢を見させる側は、夢なんて一生見れない―
そうに決まってる。
そうじゃなきゃ、辻褄も帳尻も
私と言う、身体も合わないもの。
黒のニーハイを片足から通す。
さながら
不機嫌なブリジット・バルドーを装った。
サービスは日常に付随してくるのです。
女である限り。
呑気に果てて寝ている誰かの事なんて
もうとうに忘れた振りで。
「もしもし?」と小さく声を発した瞬間―
さながら気取ってみた不機嫌な顔が
更に不気味な笑顔に痙攣するのが分かる。
―いつもの事だ、前からだ、慣れたもんだ―
ねぇ、バルドー。
私だって夢くらいみたいもんだわ。
オフェリアは良い夢の中に違いない。
さすれば…
犯人はゴダールか、シェイクスピアに違いない。
「私の為にもっと脚本を。喜劇でも悲劇でも!」
そう言って声高らかに笑おうか。
なんて。
断頭台上の演説から我に返る。
ああ、何分後には
「こう言われるんだろうな」と予言、否、予知する。
天井を仰いで、その時を待つ。
―どうせ、しっかり台本通りに演じるんだから―
はて?
今寝てる男と私の間に
「ペアリング」と言う小道具が無いのなら…
何を捨てる事になるのかな。
知りたくもない。
知らなくていい。
見えない存じない
ぼんやりしていて
的も無い信仰心にただただ縋るだけ。
題 夢をみていたい
著 塵芥椎名
満ちて
欠ける
無くなる
欠ける
満ちる
と、言うエンドレスループは
女性をよく表現しているなぁと思う
弓に似ている
湾曲している
三日月が鋭利に見えないのは
女性のフォルム的な物かなぁ。
題【三日月】
著 塵芥 椎名
冬の晴れ間の寂しさといったら
銀髪のご老人に良く似ている
夏の晴れ間の清々しさに
焦がれて
アスファルトの上でご執心
地上の赤
天空の青
その尊さが
私の五感を攫っていく
それだけでは飽き足らず
光も希望も不安も
果てにゃ、絶望や未来までも
体温と共に
灰色の切れ間に吸い込まれていく
きっと、だから、こんな事考えるんだ
題 【冬晴れ】
著 塵芥 椎名