君がいないと、暗い宇宙でひとりぼっち
行きたい星も見たい星座も思いつかない
君がいないとなんにもできない、したくない
『ふたりで宇宙の果てまで行ってみようね』って約束したのに
君がいないと、上も下もわからない
無重力の中でずっと迷子のままなんだ
『消えた星図』
引いたら他人
足せば恋人
なーんだ?
『愛 — 恋 = ?』
ずっと言えなかったことがあって……
実は……
私……
林檎よりも梨が好きなんです
『梨』
「梨!?」
驚いて、僕は目の前の彼女を凝視する
だって、君は言っていたじゃないか
『実家がリンゴ農家』だって
そのことを確認すれば、それは本当だと言う
なら、なぜ…?
「林檎も嫌いじゃないんです、でも……梨のほうが水っぽくてシャリシャリしてるのが好きで……黙っててごめんなさい!」
別に怒ってはいないけれど、なんだろう……
林檎を使ったスイーツに始まり、林檎柄の雑貨、林檎モチーフのアクセサリー……
今まで良かれと思ってしてきた行動の数々を思い返すと、恥ずかしくなってくる
どれもこれも、僕の独り善がりだったのだろうか
「でも! 柄とかデザインとしては林檎のほうが好きなんです!」
肩を落とす僕に、彼女が慌てて声をあげる
「ほら!」と見せてくれた指先には、赤くて可愛らしい、小さな林檎柄のネイル
「最初はそうでもなかったんだけど、たくさんプレゼントをくれたでしょう? そしたら、林檎を眺めると貴方の顔が思い浮かんでくるようになって……」
尻すぼみになる声に、おや?と首をひねる
僕のの顔が浮かんで迷惑だと言われるのかと思いきや、そうではないらしい
「それで……こうして身につけてると、いつでも一緒にいるような気がして……嬉しくなっちゃって……だから、ね……?」
そう語る彼女の顔は、林檎のように真っ赤に染まっていた
涙なんて流さないよ
あなたとの別れは悲しいものになんてさせないから
くちびるにはあなたが好きだった歌を乗せて
笑顔でお別れしましょう
『LaLaLa GoodBye』
晴れた日には遠くへと伸びてゆく飛行機雲
どこまでもどこまでも、まっすぐに遠くへ
まっすぐ、空の向こうまで
『どこまでも』