NoName

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8/21/2025, 1:30:26 PM

目眩がするほど遠くの地面
一瞬だけ強く吹いた風に、繋いだ手から震えが伝わってきた
隣に立つ君を見れば、怯えた目をしている
そんな君に「大丈夫だから」と頷いてみせ、あらためて君の手をしっかり握りしめる
逃げ道はもうない

覚悟を決めて、踏み出すだけ

「3、2、1……バンジー!」

『君と飛び立つ』

8/20/2025, 2:28:46 PM

抱き上げたときの重さ
名前を呼んだら嬉しそうに駆けてくる足音
一緒に眠る温かさ

『きっと忘れない』

8/19/2025, 1:47:31 PM

誰にも見つからないようにひとりで泣いていても、
あなたは私を見つけてくれるでしょう?
それがとっても嬉しくて、
少し怖いから私は泣くの。

『なぜ泣くの?と聞かれたから』

8/18/2025, 2:41:37 PM

振り向いても目を凝らしても姿は見えない。
けど、足音は聞こえる。
少しずつ、けれども確実に。あなたの背後に近づいている。

もうどれくらい逃げているだろう。
あなたは追いつかれないよう必死に走っているが、足は棒のようで呼吸もままならない。
長い時間活動を続けた身体はとうに限界を迎えていて、少しでも立ち止まったらもう動けなくなってしまう。
ふらついて転びそうになるたび、そろそろ休んでもいいんだよ、という悪魔の囁きが聞こえてくる。
そんな囁きを振り払って、またあなたは走り出す。

追いつかれてはいけない、恐ろしいことが起きてしまう、なにがなんでも逃げなければ。
そんな、爆発しそうな恐怖を抱えながら、あなたは足を動かしている。

■■■の終わる足音が、あなたのすぐ後ろで鳴り響く。

『足音』

ハッと意識が覚醒する。スマホの時計を見ると、目覚めるには早すぎる時間。

「また夏休みの宿題が終わらない夢見た……」

夏休みなんて、何十年前のことだろう。
まるで昨日の出来事のような生々しさに、身体から冷や汗が吹き出す。
もう一度時計を確認するが、やはり朝とは呼べない時間のままだった。
安堵のため息を吐き、あなたは再び身体を横たえる。

■月■日の出来事。

8/17/2025, 11:52:48 AM

我が家では夏の終わりに安くなった高級素麺を箱買いする。
私個人の強い希望で。

私はとにかく素麺が大好きで、茹でるのも苦にならず、季節問わずに食べていたい。
春も秋も冬も、素麺を食べている間は心だけ夏に戻る。
桜が咲いても紅葉しても大雪になっても、素麺を茹でれば夏の暑さが甦る。
素麺が運んでくる夏の記憶。

『終わらない夏』

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