隠された手紙を見つけた
しめしめ、あいつは何を綴っているのか
誰に書いているのか、どんなことを書いているのか、想像するだけで口角が上がる
恥ずかしい過去だろうか?それとも甘ったるい愛の言葉だろうか?はたまたへそくりの場所だったりして……
ぺりぺりと封がされた封筒を開ける
そこには1枚の小さな紙があるだけだった
『カッターが、あればよカッター』
とりあえず殴りに行こう
鏡の中の自分が笑う
鏡の中の自分が泣く
鏡の中の自分が怒る
不思議なもので、自分の顔というのは鏡がないとわからない。だから、思ったより変な顔をしているし、いい顔をしている。たまに見ると、自分のことがわかっておもしろい。ずっと堪えられてると思っていたのに、鏡の中の自分は酷く泣きそうな顔をしていて、嗚呼私はすごく悲しいんだなぁと思う。そしたらもう堪える必要なんてなくなって、自然と涙が流れていく。むかつくときも、鏡の中の自分は思ったよりも怒っている。楽しいときも、鏡の中の自分はにやにやしている。
今日も私は鏡を見る。いったいどんな私を教えてくれるのだろう。
『鏡の中の自分』
ホームで電車を待つ。
柵がないホームには慣れない。どうにも境界があいまいになって、足が浮ついたように感じられる。
ぽーん、ぽーんと電車が来る知らせが届く。
目の前には線路があって、ぽっかり空いた空間があった。見つめるうちに彼らを埋めなくては、という義務感が湧き上がってくる。
ごお、ごお。風が唸り始める。
私はぐっと足に力を込めて、電車を待った。
ほどなく電車はやってきて、私の目の前は無事に埋まった。
ほっと力を抜くと、ぽーんとまたアナウンスが鳴った。どこかで人身事故が起きたみたいだった。
彼らはきっと埋めてしまったのだろう。そう思いながら私はなにごともなく電車に乗りこんだ。
あのとき勇気をだして遊びに入れてと言えていたらどうなっていただろう。
あのときみんなに合わせてスカートが履けていたらどうなっていただろう。
あのときクラスメイトを嫌いにならずにいたらどうなっていただろう。
あのときテストの結果を自慢していなかったらどうなっていただろう。
あのときくだらない取引きに応じなかったらどうなっていただろう。
後悔は先に立たないし、水は盆にはかえらない。
それでもifの世界ばかりを考えている。
まあ、後悔の後ろに立つことができたとしても、水を盆にかえせたとしても、今みたいな息苦しい日々が変わるわけではないだろうけど。
過ぎた日を思わずにはいられない。
いつか来る日を願うまで。
『過ぎた日を思う』
ひとりは楽です。だから、1人でいたい。
ひとりは寂しい。だから、ひとりぼっちは嫌だ。
ひとりは楽です。だって、誰にも傷つけられない。
ひとりは寂しい。だって、誰も隣にいてくれない。
ひとりは楽です。しかし、どうしようもなく
ひとりは寂しい。しかし、どうしようもなく
『空白、心地よい』