noname

Open App
11/3/2024, 3:30:57 PM

鏡の中の自分が笑う
鏡の中の自分が泣く
鏡の中の自分が怒る

不思議なもので、自分の顔というのは鏡がないとわからない。だから、思ったより変な顔をしているし、いい顔をしている。たまに見ると、自分のことがわかっておもしろい。ずっと堪えられてると思っていたのに、鏡の中の自分は酷く泣きそうな顔をしていて、嗚呼私はすごく悲しいんだなぁと思う。そしたらもう堪える必要なんてなくなって、自然と涙が流れていく。むかつくときも、鏡の中の自分は思ったよりも怒っている。楽しいときも、鏡の中の自分はにやにやしている。
今日も私は鏡を見る。いったいどんな私を教えてくれるのだろう。

『鏡の中の自分』

10/7/2024, 1:28:20 PM

ホームで電車を待つ。
柵がないホームには慣れない。どうにも境界があいまいになって、足が浮ついたように感じられる。
ぽーん、ぽーんと電車が来る知らせが届く。
目の前には線路があって、ぽっかり空いた空間があった。見つめるうちに彼らを埋めなくては、という義務感が湧き上がってくる。
ごお、ごお。風が唸り始める。
私はぐっと足に力を込めて、電車を待った。
ほどなく電車はやってきて、私の目の前は無事に埋まった。
ほっと力を抜くと、ぽーんとまたアナウンスが鳴った。どこかで人身事故が起きたみたいだった。

彼らはきっと埋めてしまったのだろう。そう思いながら私はなにごともなく電車に乗りこんだ。

10/6/2024, 3:04:39 PM



あのとき勇気をだして遊びに入れてと言えていたらどうなっていただろう。
あのときみんなに合わせてスカートが履けていたらどうなっていただろう。
あのときクラスメイトを嫌いにならずにいたらどうなっていただろう。
あのときテストの結果を自慢していなかったらどうなっていただろう。
あのときくだらない取引きに応じなかったらどうなっていただろう。

後悔は先に立たないし、水は盆にはかえらない。
それでもifの世界ばかりを考えている。

まあ、後悔の後ろに立つことができたとしても、水を盆にかえせたとしても、今みたいな息苦しい日々が変わるわけではないだろうけど。

過ぎた日を思わずにはいられない。
いつか来る日を願うまで。

『過ぎた日を思う』

7/31/2024, 2:38:52 PM



ひとりは楽です。だから、1人でいたい。

ひとりは寂しい。だから、ひとりぼっちは嫌だ。

ひとりは楽です。だって、誰にも傷つけられない。

ひとりは寂しい。だって、誰も隣にいてくれない。

ひとりは楽です。しかし、どうしようもなく

ひとりは寂しい。しかし、どうしようもなく


『空白、心地よい』

7/20/2024, 12:23:26 PM

目の前に人っぽい何かがいた。
パッと見同年代の男に見えるが、よく見ると目っぽいのがおでこにもう2つあるし、触れたらひとたまりもなさそうな真っ赤な爪が伸びている。首に口っぽいのもある。てかちょっと溶けてる。
別に襲ってくるってこともなくて、むしろアイツも戸惑っているように見えた。アイツからしたら俺の方がアイツっぽい何かなのだろうか。なんてぼんやり考えていたら首の口が動いた。

<2vjxr5qs■)/.””'+>

…たぶん、なんか言ったんだと思う。なんだろう。これは、なにか言うべきだろうか。

「こんにちは。そこから話すんだね。」

なんかアイツめっちゃ動揺してる。アイツもこっちの言葉わかってないのか。

あれから数時間が経ったと思う。俺たちはすっかり仲良くなった。ぶっちゃけ何言ってるか分からないけど、楽しく会話できてる。意外と何とかなるもんだ。

「Bt1sm@…これどう?」
<!6v55jw、2lmw+>

ヤツは驚いておでこの目を見開いた。そっちが動くんだな。

<か、ずま…5vtjndw?&>
「あ、俺の名前。」



『いつもよりかっこよく聞こえたと彼は言う』

Next