・4『きらめき』
自室はすっかり倉庫のような役割になっていたが
思い出の数々もそのまま残っていた。
子供の頃はキラキラしたものが好きだった。なんでもラメ。
あの頃は強気だったなと思う。自分は可愛い、自分が望んだことは叶えられる、と。
根拠のない自信。
でも今はすっかり萎縮してしまっている。
自分の人生を取り戻そうと思う。
【終わり】
・3『些細なことでも』
夫はずっと私が何を言っても真剣に聞くことはなかった。
どんな些細なお願いでも聞いてはくれず
一方的に搾取されてきた。
私の話は常に否定され、無いものとされた。
どうぞ大好きな義母さんと仲良く暮らしてください。
もう知らん。
【続く】
・2『心の灯火』
実家に逃げた。
夫とはもう会いたくない。
実家の母は何も事情を聞かず「いつまでもいていい」と言ってくれた。
その日の夕飯はお刺身や揚げ物、明太子や浅漬や豚汁など私の好きなものばかりが並んだ。
母はもう歳だからあまり作れないけどと言っていたけど嬉しかった。食べながら泣きそうになるのをこらえるのがやっとだった。
食べ終わると自分を少し取り戻せた気がした。
【続く】
・1『開けないLINE』
向こうは既読になんねーなと思ってるだろうか。
何件きてるのか想像したくもない。
でも私はもう決めたのだ。
あなたの言いなりにはならないと
【続く】
・10『不完全な僕』
退職して3週間ほど。今日は日曜日。
もう日曜日なのか、退職してから曜日の感覚がない。
迷いインコのコースイがうちのコかもしれないと、女性から連絡をもらった。動画を撮って送ってみると間違いないという。
その方からも飼っていた時の写真や動画を見せてもらった。
疑いようもなくコースイだった。
良かったね。飼い主さんが見つかって。
コースイちゃんはほんとの名前はキウイちゃんだった。
飼い主さんがおうちに迎えに来てくれるそうなので掃除をしている。
また一人になるけどなんとかやっていくよ、とキウイに言いながら首を掻いてあげた。
きっといなくなったら淋しくなる。わかっているけど仕方ない。
【終わり】