・9『香水』
姪っことお茶をしながら迷いインコの名前を考えた。
姪っこはインコに「名前をいってごらん?」と話しかけていたが当のインコは首を上下に振ってはピィ!ピィ!と気まぐれに鳴くだけだった。
水色の香水瓶のよう、という理由で「コースイちゃん」ということにとりあえずなった。
【続く】
・8『突然の君の訪問。』
雨の中うちのマンションを見上げていたのは中学生になったばかりの姪っこだった。
どうしたのか聞くと
「なんでもない」
という。学校がなじめないのか、
聞こうにも
そもそも自分が仕事を辞めたばかりの人間だ。
まああがってよ
といい
迷いインコの話をして
買ってきたばかりのゲージを組み立てたり
手伝ってもらった
【続く】
・7『雨に佇む』
土曜日。
迷いインコは飼い主が現れるまで預かることにした。
私はこの小さな生き物が死なないように気を使っているつもりだが当のインコはそんなことは考えもせず呑気に過ごしているように思えた。
健康そうで良かった。
買い物の返りに雨に当たった。
雨の中、私の住むマンションを見上げている人物がいて訝しんだ。
【続く】
・6『私の日記帳』
金曜日。
迷いインコは豆苗を置いた本棚の隅で一晩過ごした。私の日記帳を齧られる。認知行動療法のための日記だった。
餌を買いに行く。
帰りに交番に伝えに行く。
少し離れた場所に小鳥も診てくれる動物病院があり、そこでも探している鳥の情報などがあるらしいので行ってみることにする。
なにせ休職中で時間はあるので。
帰ってインコがいなくなっていたらどうしようと少し不安になる。
私はなるべく急いで帰った。
【続く】
・5『向かい合わせ』
いつも自分がご飯を食べるときに使っているローテーブルにインコは止まった。向かい合わせで座ると頭を上下にブンブンと振って楽しそうにしている。
迷いインコは警察に連絡するべきなんだろう……
明日でいいだろうか。餌はどうすればいいのだろう。
とりあえず小皿に水を入れてテーブルに置いてみた。
【続く】