山百合

Open App
8/24/2024, 2:44:05 PM

・4『やるせない気持ち』

木曜日。
働かなければ、でも働けない
就職活動なんてできそうにない。
今は休まなければ。
もうこれ以上身動きがとれないのではないかという不安に駆られた。

近所でアルバイトでもはじめようかと考えていると
ベランダにインコらしき鳥がとまっている。
そっと窓を開けるとインコは部屋の中に入ってきた。

【続く】

8/23/2024, 1:56:57 PM

・3『海へ』

水曜日。
海が見たくなる。これで本当に出かけられるなら
私は鬱じゃない、適応障害でもない。
例えば
犬吠埼に行く。
灯台を眺める。

荒れた海を眺める想像だけした。

家からは出なかった。
昨日の洗濯物を畳めずにぼんやり眺める。

【続く】

8/22/2024, 6:16:39 PM

・2『裏返し』

火曜日
しばらくは自宅にこもるつもりだ。
普通の人は普通に出社する時間だということは
意識しないようにする。

洗濯をしようと洗濯物をネットに入れる
ネットが裏返しでやり直し。

軽く掃除をする。脛をぶつける。

食べたいものがなくて
横になる。

【続く】

8/21/2024, 2:26:34 PM

・1『鳥のように』

月曜日、出社。
立つ鳥後を濁さず。

辞表を叩きつける……ではなく
自分のデスクを片して、上司に退職の旨を改めて伝える。
医師の診断書も添えて。
もう解放されたかった。

【続く】

8/20/2024, 1:39:14 PM

・3『さよならを言う前に』

私は一体誰なんでしょう。
婚約者の女は言う
「正体を表せ」

そう言われても。
それから雷鳴。
雨。どんどん強くなる。

瞬間、女は私の目の前で雷に打たれる。
沼で女が死に、沼で女が産まれる。
スワンプマンならぬ
スワンプウーマンだ

婚約者の女が甦る。
同じ女か?
それとも違うのか?

「さよならも言えなかった」
「あなたは誰?」

私は答える
「君の婚約者だ」

【終わり】

Next