・1『花咲いて』
やっほ
あたしイワナガヒメ。そそ、コノハナサクヤの姉でっす。
めっちゃ妹と比べられるんだけど
確かにウチの妹天界一カワイイ。
悔しいでしょとか、仲悪いでしょ?とか毎回言われて
超だるいし。
てかウチは最強だし、自分の顔とかなんとでもなるけど
別にキョーミないし?
てか超カワイイ妹の笑顔見るほうが楽しいし?
妹っちはあたしの為にめちゃくちゃ桜満開にしてくれたし?サイコー。。
めっちゃ大事にするし。
あたしもサクヤんの為に野菜も米も気合い入れて作って送るし!!
今度スパイスカレー作るし!!絶対に美味しいやつ。
食べてもらうんだ!!
【続く】
・7『もしもタイムマシンがあったなら』
自転車を返してもらってからしばらく経つけどKに会うことはなかった。
封筒のお金には(ちょっと怖いので)手を付けていない。
でもまあ大丈夫だろう。
Kの事を誤解してたかもしれない
軽薄で人を振り回すタイプだと思ってた。
恩着せがましく何か見返りを求めたりもない。
もしかして、忘れているだけで
良い同級生だったんだろうか。
Kはいつも声が大きくて自由で、煩わしくて、羨ましかった。
もしもタイムマシンがあったらもう一度子供時代をやりなおしたい。
Kにタバコを吸わせない。
私は隣でパピコとか分け合いたい。
【終わり】
・6『今一番欲しいもの』
駅前の喫茶店(もちろん禁煙)に2人で入った。
Kが
「今一番欲しいものってなに?」と聞いてきた。
私は「お金」と即答した。
Kは鞄からおもむろに封筒を出してきた
「あのクソガキの親から」
「え」
「有名なんだよ、あのクソガキ。誰だかすぐにわかった。一応疑うのもわるいから俺も自転車に乗ってノロノロ走ってたら蹴られたからとっ捕まえた」「そいつが通りそうな時間もルートもわかりやすかった」「親は大事にしないでくれって」
で、これ。封筒には30万ほどだろうか?入っていた
「だからこれやる。自転車はごめん、明日綺麗にして返すよ」
Kはアイスコーヒーを一気飲みするとじゃあねー
と去って行った。
【続く】
・5『私の名前』
午後から出社した。
銀行に行ったり早め処理しなければならない事はそれなりにあって忙しくしていたので朝の事は忘れられた。
嫌な事は忘れるに限る。
会社を出ると私の名前を呼ぶ声がした。
Kだ。私の自転車を返しに来たのかと思ったら自転車は見当たらない。
カフェに行こうと言われた
……禁煙のところなら、と私は答えた
【続く】
・4『視線の先には』
Kの目力に負けて今しがた起きたことを白状した。
Kは
んだそのクソガキありえねー
と言い忌々しい、という表情をした。
じゃあ私は一旦着替えに戻るからと、来た道を歩きだす。
Kも何処へ向かう途中なのかは知らないが隣を歩く。
自転車を押しながら歩くとKにごく自然に交替させられた。
この自転車今日借りていい?とKがおもむろに言う。
私も今日はもう乗るつもりがなかったのでいいよとOKした。
Kは私の顔を見て得意そうな顔をして(なんでだ)
笑った。視線の先には何か企みがある気がしたが
あえて触れないでおいた。
Kはあっという間に何処かへ行ってしまった。
【続く】