・3『私だけ』
地元に残った者同士、ちょくちょく顔を合わせることはあった。
仲がいいという訳ではない。
Kは歩きタバコをしながら私に気付き
手を振る。
正直苦手だ。
どーしたのー?って聞いてくる(声がデカい)
タバコをポイ捨て(やめろ)
大丈夫?と言われた
うん、何でもないー
ちょっとバランス崩しただけ。
って答えたら
で???
ホントは何があった??
とKは言う
こーゆー場面で男に頼んないのは君だけ
と続けるK。
めんど
【続く】
・2『遠い日の記憶』
交番に寄ろうと思ったけど、もうなんだかどうでもよくなってきた。周りに誰もいない、防犯カメラもない、どうせ言ったところで捕まらないだろうし。
会社に連絡して午前休をもらった。
休むほどではないし。
嫌な事があれば
芋づる式に
嫌な事は思い出された。
怒りが記憶を蘇らせる。
もう誰でもいいから私に心から謝罪してほしい。
そう思っていたら向こうから同級生が歩いてきたのだ。
【続く】
・1『空を見上げて心に浮かんだこと』
朝の通勤で自転車を漕いでいたら
後ろから来た自転車に追い抜きざまに後輪あたりを蹴られた。
ギョッとして見るとまだ小学生くらいの男の子だった。
声も出せずバランスを崩して自転車ごと倒れてしまった。
少年はどんどん遠ざかっていくし
自転車の下敷きになった足は痛いし
今日はもう仕事行くのやめよう、となった。
なんでこんな目に?
空を見上げながら少年に天罰が下ることを願った。
会社に電話するのも億劫だなと思いながら。
【続く】
・7『終わりにしよう』
怒ったねえさま方に手を取られて
天上に引っ張りあげられたんだけど私の天女の衣は
襤褸のままだったから
結局また地上に落ちちゃった。
んもー、新しいのを用意してくれれば良かったのに。
2度目の落下は
只事じゃなくて。。
私、ずっと人間の老婆の姿で。
死ぬことも出来ず、
天女にも戻れそうになくて。。
泣いたわ、これ以上泣けないくらい。
もう終わりにしたい。
襤褸がびしょ濡れになっても抱きしめてたら
綺麗に衣が甦る!
フワフワ浮いてたから、それを眺めて
私は安心して眠った。
もう起きないわ。
【終わり】
・6『手を取り合って』
せみなー会場の入口で来る人来る人の手を握って
羅漢や天女見習いになれるよう口利きするって言ったわ。
最初はみんなすごーく驚いてた。
でも最終的にはわかってくれたわ。
浄土にどんどん斡旋していったの。
『凄く成功してる人』はいつもご飯をくれるし。
人間社会に馴染んだわ。
渋谷や池袋、新宿でそんなことをしていたら
すごーーく問題になっちゃったみたいで
ねえさま達が怒り心頭で私を迎えにきたの。
その中には私が天女見習いにした子もいた。
手を取り合って天界にもどることになったわ!
【続く】