最愛の貴方に相応しい、最大の愛を!
家から放り出された夜に見る月がすきだった
冷えた裸足でぺたぺたと歩き、いつもは出来ない散歩をするのがすきだった
今ごろ、母は見知らぬ男の人と遊び、父も他の女の人と一緒にいるだろう
そんな時、現れたあなたは、まさに私の天使だった
「こんな時間にどうしたんだい、坊や?」
少し露出度の高い服に、クルクルと巻かれた髪
でも、声は見た目からは想像出来ないほど優しくて、あの白い手で暖かいココアを渡してくれた
「夜はいいよ、私が私でいられて」
お姉さんは、夜のお店で働く人だった
昼の世界に怖くなって、夜の裏の街に逃げてきたらしい
「お姉さんは、私でいられない時があるの?」
そう聞いた時、一瞬目を見開き、月夜に照らされ風になびく髪を抑えて言った
「そうだね、時々。」
それだけ言って、ココアを一気飲みした
「そっか、私も、この夜だけが、私でいられる時」
似た者同士だね、とお姉さんに笑いかけた
月明かりが、私たちを地獄から逃がしていくれる
月明かりは、私たちの天使だ
お題『月明かり』2025 4 20
魔王がプリンセスを人質に、勇者が助けに、世界が平和に
そんなストーリーはお呼びじゃない
私の冒険に、姫様はいらない
必要なのは『勇気』と『好奇心』
「さぁ!冒険の始まりよ!」
立ち上がれ!人々よ!
お題『物語の始まり』 2025・4・18
未来は誰にも分からないから創るんだ
お題『未来図』 2025・4・14
校門にある、少し小さな桜
新学期、軽いバッグを放り捨てて、風と共に舞う桜の花びらをキャッチする
「なんてくだらない」と、交通安全見守りの先生や入学してきた後輩達の呆れた目など気にせず、友人と共に目の前の獲物に夢中になる
スカートの裾を持って大胆に広げ、そこで桜をキャッチする
もはや誰に見られているかなど気にしない
この宙を舞う『ひとひら』に命をかける
クラスメイトはとても退屈なゲーミングモニターの前で桜のように踊り狂うことだろう
私たちにとってそれは『死』と同じだ
だからこうして、今しか見れない『ひとひら』を捕まえる
頭の上と頬をピンクに染めて
お題『ひとひら』 2025・4・13