るに

Open App
3/2/2026, 3:14:47 PM

崖から落ちた。
いや落とされた。
誰に落とされたのか分からないが
背中には押された感覚があった。
運良く崖の下は滝で、
中間地点には
広いが奥行きが無い洞窟があった。
今日はあいにくの雨。
3月と言っても始まりたてで
まだまだ寒い時期だ。
体温は次第に奪われてゆく。
ただ、
私には火を起こす技術も
サバイバル能力も無い。
滝の音で
私の声なんか
外へは届かない。
そんな中の
たった1つの希望。
それはほぼ0に近い確率で起こりうる、
誰かが私のように
崖から落ちてきて
この洞窟にたどり着くこと。
その際
外と連絡が取れる物を
水没させずに持ち込む必要がある。
私の荷物は全て上だし、
下に降りるにも
上に登るにも
高さが中途半端すぎるから。
本当に無いに等しい希望だけれど
賭けるしかない。
"Good Midnight!"
と、そこに
突き落とした犯人であろう人が
足を滑らせ転落し洞窟へ。
そしてスマホが無事だった、と…。
目を疑うほどの
腑抜けた展開だったが、
0でなければ
どんな展開も
予想がつかないものだった。

3/1/2026, 2:40:09 PM

目の前の料理に食らいつく。
欲望のままに
手を動かし飲み込んでゆく。
ターキーレッグに
ローストビーフ。
ホワイトキングサーモンから
シーザーサラダまで。
色んな料理の匂いが
食材の香りが
食欲を抑えさせてくれない。
食べ物が胃に入っていく感覚が
いつもより鈍いみたい。
いくらでも食べていられる。
なんで私は今ここにいるのか、
なんで料理を食べているのか、
なんで料理がこんなに沢山あるのか、
全くわかっていない。
それでも
腹が満たされたいと
脳へ信号を送っている。
"Good Midnight!"
ぐぅ〜〜っ。
目が覚めると
いつもの天井、
いつもの私の部屋。
はぁ。
お腹空いたなぁ。
お腹いっぱい
料理を食べれたらなぁ。

2/28/2026, 4:40:22 PM

灯りが
ぽつぽつと
道を照らす時刻。
近年、
どの街も過疎化問題が
急に加速している。
そのため
過疎化が深刻になり
別の街へ皆で引っ越す、
という騒動が増えている。
私は理由に
大体検討がついている。
神隠しだ。
どの街も
三三峠を中心に円を描くように囲んであって、
どの街からも
三三峠に入れてしまう。
恐らく何らかの逆鱗に触れたんだろう。
最近は調査員のような人たちが
よく三三峠へ入っていってたし、
お供えのお神酒は古いはずだ。
そして神隠しに会っているのは
高齢者や子ども。
もちろん、
気づかれにくいからだ。
高齢者と子どもは
仕事をしない。
仕事をしないと顔を合わせることが
ほどんどないから
気づかれにくい。
それにどの街も広いから、
最近あの人見かけないね〜ともならない。
怖い話だ。
薄々気づいてる人はいるだろうけど、
今の街にいる人のほとんどは
過疎化の街から引っ越してきた
よく知らない人だ。
情報を共有・交換することが
慎重になりがち。
"Good Midnight!"
この街も
もう数十名となってしまったので
遠くの街へと引っ越してしまう。
次が三三峠を囲む最後の街だ。
次は自分かもしれないという
底知れない恐怖が、
皆の足を最後の街へと動かしていった。

2/27/2026, 4:56:55 PM

現実逃避しすぎなんじゃない?
誰かに言われた。
白雲峠という
目撃情報のみ存在する
幻想に近い峠に縋り続けている私に
誰かが痺れを切らして言った言葉。
それでも私は
ずっと探し続けている。
ネットにはいくつも情報がある。
それに、
白雲峠に住んでいるであろう
ネブラスオオカミの調査をしている
専門機関もある。
ただ行方不明者は多いそうだけれど…。
調べ事なら私の得意分野。
試験に合格し
私は専門機関へ。
ここでは名を捨て
番号が割り振られる。
私は423。
基本的に無線を使って
ネブラスオオカミの
目撃情報があった場所へ調査へ行く。
研修などは無く、
何があっても自己責任。
この機関は
ただの物好きの集まりだから。
"Good Midnight!"
...ジーツ、...ザザッ、こちら423。
ネブラスオオカミの目撃情報があった
三三峠にいます。
ネブラスオオカミがいた軌跡は
特に見当たりませんが、
引き続き様子を見たいと思います。

2/26/2026, 1:30:15 PM

桜の絨毯ができるほど
散ってはいない桜が
4月並みの外に佇む。
入学式、卒業式、
進級の季節。
毎年桜は風に吹かれるがまま
サアサアと淡い桃色を光らせる。
学校という存在は
近くて遠い。
必死で築き上げた人間関係も
崩れるのは一瞬で
もう二度と会えないかもしれない。
そういえば随分前に
気の強い子がいた。
芯を持っていて、
人が群がっていても
ズンズンと進んでいく君。
どんな会話でも
ふとした時にバッサリと切って
切り替えていく。
休み時間は
よく私に話しかけてくれたけど、
長々とは話さずに手短な世間話。
自分をしっかり持っていて憧れていた。
人は気付かぬうちに
周りに合わせる生き物だから。
"Good Midnight!"
桜の花の雨の中
君は今
どうしてるのかなって。

Next