るに

Open App

崖から落ちた。
いや落とされた。
誰に落とされたのか分からないが
背中には押された感覚があった。
運良く崖の下は滝で、
中間地点には
広いが奥行きが無い洞窟があった。
今日はあいにくの雨。
3月と言っても始まりたてで
まだまだ寒い時期だ。
体温は次第に奪われてゆく。
ただ、
私には火を起こす技術も
サバイバル能力も無い。
滝の音で
私の声なんか
外へは届かない。
そんな中の
たった1つの希望。
それはほぼ0に近い確率で起こりうる、
誰かが私のように
崖から落ちてきて
この洞窟にたどり着くこと。
その際
外と連絡が取れる物を
水没させずに持ち込む必要がある。
私の荷物は全て上だし、
下に降りるにも
上に登るにも
高さが中途半端すぎるから。
本当に無いに等しい希望だけれど
賭けるしかない。
"Good Midnight!"
と、そこに
突き落とした犯人であろう人が
足を滑らせ転落し洞窟へ。
そしてスマホが無事だった、と…。
目を疑うほどの
腑抜けた展開だったが、
0でなければ
どんな展開も
予想がつかないものだった。

3/2/2026, 3:14:47 PM