からんっ。
古い棚から瓶が落ちてきた。
ラベルには秋風🍂と書いてある。
中身は少しだけ残っていて
同じように
ラベルが貼ってある瓶は
山ほどあった。
中身を少しだけ空気中に撒いてみると
さーっとひんやり涼しい風が吹いた。
まさか現実に影響するとは思わなかったけど。
急に寒くなってしまった外。
きっとこれから秋本番!って時に
元々吹いていた秋風プラス、
瓶の風を撒いてしまったからだ。
やるなら夏だったなぁと
瓶を見つけた自分を恨んだ。
もこもこの服と靴、
少し早い気がするコタツ。
足は冷えやすくて吊りやすいから
私は全て早めに出すのだ。
ずっと瓶はそこにあったのに
存在に気づかず過ごして
こんなことになるなんて。
"Good Midnight!"
昨日の最低気温が
今日の最高気温な毎日へ。
雨の予感。
パラパラと私の気持ちを
さらっていく。
流してくれる。
留めておきたいとは思わない。
私に必要な気持ちだとしても
今は要らない。
消えて欲しいと思ってた。
押し殺して飲み込むだけじゃ
溢れちゃうから。
楽しい思い出も
悲しい思いも。
過去の全てを
流していくしかない。
人はいっぱい持てないから。
"Good Midnight!"
すっきり空っぽになった私を埋めるのは
やっぱり楽しい思い出と
悲しい思いだけだった。
私のfriends。
どうやって作ったらいいのか
もうわからないfriends。
時に暖かく迎えてくれて
時に冷たく突き放してくるfriends。
私ってなんで
この子と友達になったんだろう。
純粋な疑問が飛び交う自分の部屋、
天井は白いのに
心はなんだか青くて
少しネガティブになりがち。
嫌なことがあったり
楽なことがあったりして、
今日から早く離れたくなったり
ずっと今日に居たくなったり。
急加速・停止を繰り返す
この毎日で
やっぱりちょっとした悩みの種は
取り除いておきたい。
友達を切り捨てたり
逆に信頼を深めたり。
あー、なんか
疲れたなー…。
"Good Midnight!"
考えることも
友達と付き合っていくことも
もう疲れちゃった時
目から水を流して
また後戻りする。
声が枯れるまで君は歌う。
雨が降っても
日差しが痛くても。
未練があるのか知らないけど
私は何故か墓から動けない。
多分誕生日に何も貰えなかったから
ここで待ってるんだと思って
通りすがりの君に頼んだ。
歌が上手な君は
歌を贈ってくれた。
その歌は民間療法として使われている
癒し効果がある歌らしい。
ただ、
休む暇もなく長時間歌い続けなきゃだから
すごく大変。
それに君は歌うのがゆっくりだから
何日もかかった。
"Good Midnight!"
でも世界で1番あったかい贈り物だった。
心が歌で埋められていく。
まだ終わりそうにない歌。
私に届くまで君が紡ぐ歌。
天使。
それは宗教に登場する
神の使者として信じられる
霊的な存在。
なんとなく
天使は清らかな者で、
全てにおいて公平・平等で、
救いの手を差し伸べたり
時には恋の手助けをしたり
プラスなイメージをもつだろう。
しかし、少女は違った。
長所より短所を好み、
効率・多数決を重視。
救いの手?恋の手助け?
知ったこっちゃないと言わんばかりの
事故を装った邪魔。
天使の中でも群を抜いた変わり者で
悪魔と何が違うのか、
というところまで来ている。
本来、
天界では自然死が一番良いものとされ
天使は神の使者として
自然死へ導くという
使命的なものがあるのだが、
少女は理由はなんであれ
死こそ救済であり
救われるためなら手段を選ばない、という
なんとまあ
ねじ曲がった使命的なものを持っている。
堕天となるのも時間の問題だと
他の天使は関わることを辞め始めた頃、
少女は神様に頼まれ
一人の若者と出会う。
若者は少女の事が見えるようで
無愛想な少女に
毎日たくさん話しかけていた。
若者は少女を笑わせたいようで
元々多かった口数が更に増えていった。
少女も少し優しい目になってきたと
神様も喜んでいた時だった。
若者が事故で亡くなった。
もちろん事故ではない。
若者が滝を上から見ていた時に
少女が背中をトンっと押した、
つまり少女が殺したのだ。
"Good Midnight!"
光と霧の狭間で
天使と呼ばれる少女は
羽根をパタパタ動かして
にっこりと笑った。
それは若者が
ずっと少女にさせたかった表情だった。