るに

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天使。
それは宗教に登場する
神の使者として信じられる
霊的な存在。
なんとなく
天使は清らかな者で、
全てにおいて公平・平等で、
救いの手を差し伸べたり
時には恋の手助けをしたり
プラスなイメージをもつだろう。
しかし、少女は違った。
長所より短所を好み、
効率・多数決を重視。
救いの手?恋の手助け?
知ったこっちゃないと言わんばかりの
事故を装った邪魔。
天使の中でも群を抜いた変わり者で
悪魔と何が違うのか、
というところまで来ている。
本来、
天界では自然死が一番良いものとされ
天使は神の使者として
自然死へ導くという
使命的なものがあるのだが、
少女は理由はなんであれ
死こそ救済であり
救われるためなら手段を選ばない、という
なんとまあ
ねじ曲がった使命的なものを持っている。
堕天となるのも時間の問題だと
他の天使は関わることを辞め始めた頃、
少女は神様に頼まれ
一人の若者と出会う。
若者は少女の事が見えるようで
無愛想な少女に
毎日たくさん話しかけていた。
若者は少女を笑わせたいようで
元々多かった口数が更に増えていった。
少女も少し優しい目になってきたと
神様も喜んでいた時だった。
若者が事故で亡くなった。
もちろん事故ではない。
若者が滝を上から見ていた時に
少女が背中をトンっと押した、
つまり少女が殺したのだ。
"Good Midnight!"
光と霧の狭間で
天使と呼ばれる少女は
羽根をパタパタ動かして
にっこりと笑った。
それは若者が
ずっと少女にさせたかった表情だった。

10/18/2025, 2:17:44 PM