るに

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4/23/2025, 5:19:03 PM

深夜2時。
今なら1人でどこへでも行ける。
寝坊しても1人だから。
ご飯を食べなくても1人だから。
どこへ行こうかな。
迷子列車、死ぬまでに1回は乗りたいと思ってたけど、
乗れそうにないかなぁ。
私は宛もなく彷徨っていく。
時々大粒の涙が溢れ出る。
悲しいわけでも嬉しいわけでもないのに。
自分より辛そうな人を見ると
安心することがある。
まだ私より辛い人がいる。
可哀想な人がいる。
そう思ったら
私はまだ大丈夫って言い聞かせれた。
多分私は
辛そう、可哀想って思われたいだけの
ピンピンしてる元気な人。
だから苦しくなってくる。
わかってるけどそう思われたい。
どこか違う場所に行って
別の人として生きてみたい。
日常からはみ出したい。
欲望は日に日に増して、
今に至る。
雨の中歩く私は
辛そうで可哀想に見える。
明日が来なければ
まだここで頑張れたのかな。
やりたくもないことを頑張れたのかな。
将来を考えないように頑張れたのかな。
"Good Midnight!"
世界は変わらない。
相変わらず
天王星は淡い水色だし、
海王星は深い海の色。

4/22/2025, 3:31:24 PM

猫は1匹、2匹。
鳥は1羽、2羽。
船は1そう、2そう。
じゃあハートの数え方は?
ハートになるまでに
欠片を組み合わせていかなきゃ
ハートにならなくて、
その欠片をsmall loveっていうんだけど、
small loveの数え方。
1カケラ、2カケラ。って
すごく覚えやすい。
100カケラ集まったらハートになって
1個、2個。って数えるようになる。
それまではカケラをつけないといけない。
そしてハートが必要な人は意外と沢山いる。
親に捨てられ愛を貰えなかった人、
親がクズで愛を貰えなかった人、
親にしか愛を貰えなかった人、
愛は貰えたけど物足りなかった人。
他にも色々な理由がある。
だからここでの仕分けは
絶対にミスをしてはいけない
幸せを作るところ。
特別なところから仕入れたカケラを
ハートのどの部分か書かれた瓶に入れていく。
右上の20カケラが入ってたり、
左半分が完成してたり。
"Good Midnight!"
あとから瓶から出して
ハートを作っていく。
それから宇宙中に届ける。
ハートが100個集まったら
どうなるのか気になるよね。
100個でできるのは
big love!
私たちはみんな
big loveを持ってるから愛を届けれる。
世界を宇宙を恨まずに
こうして生きてられる。

4/21/2025, 3:11:59 PM

青柳のささやきって知ってる?
どこからか聞こえてくる噂話が
私の耳に入ってきた。
あの川沿いに生えてる青柳が
夜になったらコソコソって
なにかささやいてるんだって。
それを聞いた人はクスクス笑いながら
そこから立ち去るんだって。
なんか不気味だよね〜。
私は少し興味が湧いた。
でも夜は予定がある。
ずっと楽しみにしてたアニメが
今日からだったのだ。
アニメと青柳をてんびんにかけて、
アニメはまた今度でも見れると
青柳を見に行くことに。
川沿いにはいくつもの青柳があった。
どれも風に揺られサーッと葉の音が聞こえる。
しかし1本だけ
他とは違う音が聞こえた。
コソコソ、コソコソと。
近くに行って
何をささやいているのか
聞こうとした。
コソコソ、コソコソ。
なんとコソコソとささやいていたのだ。
ふっと笑いが漏れたら最後、
堪えきれずクスクスと笑ってしまう。
なるほど、こういうことか。
スッキリして私は家に帰った。
晩ご飯を食べてる時
コソコソと何か聞こえた気がした。
寝る前も、外に出た時も。
"Good Midnight!"
コソコソ、コソコソ。
頭がおかしくなりそうだった。
もうやめて。
コソコソ、コソコソ。
鬱陶しくて
鼓膜が敗れるくらい
音楽を大音量で聴き紛らわして
倒れた私の髪は
コソコソと揺れていた。

4/20/2025, 2:30:59 PM

それは月が見えなくて
星明かりがよく見えた暑い日だった。
一番よく見える星を
摘んで食べて
1年の健康を祈る星狩まつり。
毎年村の人たちだけで行われる
小さな祭りだった。
屋台や花火もなくて
ただ星を食べるだけ。
でもその日は何か違った。
月が見えてた。
月の光が強すぎて
星なんかどこにも見えなかった。
ってことは無く、
前と変わらなかった。
月も見えないし、星は明るい。
何か変わってればいいのになっていう
ただの私の願望。
人っていうのは
日常や普通に慣れると
それとはまた別の新しいものを
求めるようになってくる。
私もそう。
私は星狩まつりで
月を食べてみたいと思った。
大きくて丸かったり、
真っ二つになっていたり、
先がとんがっていて
痛そうなのだったりする月が
すごく魅力的に見えた。
どんな味がするんだろう。
柔らかいのかな、硬いのかな。
近くで見たら黄色じゃないのかな。
気づけば毎年月を食べたくなっていた。
村の人はそもそも
月を食べるという選択肢がなかったようで
私が月を食べてみたいとポロッと口にすると
ものすごく驚いた顔で見てきた。
ああ、ここじゃあ私
ただの変人なのか。
それがわかった後は前ほど
食欲は湧かなくなった。
同調圧力って言うのかな、
私にはここでの居場所が全てな気がしたから、
変なことはしないでおこうと
全力を尽くした。
しかし数ヶ月前に引っ越してきた
歳が私と近い少女が
初めて星狩まつりに出た時、
月を見ている私が
うかない顔をしているのを見て
手を引いて海岸まで連れて行ってくれた。
そしたら、
星もいいけど、月も美味しそうだよね!
私、食べてみたいなぁ。
と言った。
"Good Midnight!"
ただ意見が一致しただけ。
それだけだけど
私には光に見えた。
こそっとしか自分のことを言えなかった私より
ずっと堂々としてる少女の方が
説得力があったからだろう。
願望が変わった。
私の食欲は必ず戻る。
私はこの少女と月を食べたい。

4/19/2025, 6:01:50 PM

ある峠の周辺に
狐に似た人がいるという噂がある。
なんでも、
狐目でそれはそれは美しい女の子なんだと。
私は一度でいいから会って見てみたいと思い、
その峠の近くまで行った。
でも霧が出てて
先の道も見えずらくて
カンペキに迷子になった。
ウロウロしていたら
お姉さん、ちょいとそこのお姉さん。
という声が聞こえた。
後ろを見ると
真っ赤な着物を着た綺麗な女の子がいた。
狐に似た人だと瞬時に理解できるほど
狐に似ていた。
迷子になってしもたん?
せっかく聞いてきてくれたのに
私は見とれていて
すぐには口を開けなかった。
私が教えたるよ。
道、ほんまにすぐそこにあんねん。
と、手を引っ張って案内してくれた。
その後は
峠の「すぐ」は信用しちゃダメなことがよく分かった。
30分近く歩いても道は出てこない。
狐に似た人と私の落ち葉を踏む音だけが
聞こえていた。
ずっと無言はさすがに気まずいから
私は狐に似た人に会いに来たことを話した。
あらぁ、そんな噂立ってはんの?
少し驚いた様子でそう言っていた。
ほんなら、お姉さんが行方不明にでも
なってしもうたら、
私が真っ先に疑われてまうねぇ。
それはあかんなぁ。送り届けななぁ。
狐に似た人がそう言った途端、
霧が晴れて目の前に道が見えた。
道に出ると真っ赤な夕焼けがよく見えた。
私、暇を持て余してんねん。
せやからまたいつでも来てな。
"Good Midnight!"
まだ話したいことがあった。
もっと一緒にいたかった。
そんな気持ちが溢れて止まらない。
けど、狐に似た人の方を見ると
夕焼けでできた
狐の形をした影絵が
そこにはあった。

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