るに

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4/19/2025, 6:01:50 PM

ある峠の周辺に
狐に似た人がいるという噂がある。
なんでも、
狐目でそれはそれは美しい女の子なんだと。
私は一度でいいから会って見てみたいと思い、
その峠の近くまで行った。
でも霧が出てて
先の道も見えずらくて
カンペキに迷子になった。
ウロウロしていたら
お姉さん、ちょいとそこのお姉さん。
という声が聞こえた。
後ろを見ると
真っ赤な着物を着た綺麗な女の子がいた。
狐に似た人だと瞬時に理解できるほど
狐に似ていた。
迷子になってしもたん?
せっかく聞いてきてくれたのに
私は見とれていて
すぐには口を開けなかった。
私が教えたるよ。
道、ほんまにすぐそこにあんねん。
と、手を引っ張って案内してくれた。
その後は
峠の「すぐ」は信用しちゃダメなことがよく分かった。
30分近く歩いても道は出てこない。
狐に似た人と私の落ち葉を踏む音だけが
聞こえていた。
ずっと無言はさすがに気まずいから
私は狐に似た人に会いに来たことを話した。
あらぁ、そんな噂立ってはんの?
少し驚いた様子でそう言っていた。
ほんなら、お姉さんが行方不明にでも
なってしもうたら、
私が真っ先に疑われてまうねぇ。
それはあかんなぁ。送り届けななぁ。
狐に似た人がそう言った途端、
霧が晴れて目の前に道が見えた。
道に出ると真っ赤な夕焼けがよく見えた。
私、暇を持て余してんねん。
せやからまたいつでも来てな。
"Good Midnight!"
まだ話したいことがあった。
もっと一緒にいたかった。
そんな気持ちが溢れて止まらない。
けど、狐に似た人の方を見ると
夕焼けでできた
狐の形をした影絵が
そこにはあった。

4/18/2025, 6:47:59 PM

ここまで苦労してきた。
ただ毎朝電車に乗って行って
毎晩電車に乗って帰ってくるだけの
つまらない毎日。
でも私は1歩踏み外して
非現実へと歩いていきたかった。
そんな願いは日常に含まれる。
だから私は本当に1歩踏み外してみた。
部屋の雰囲気も変え、
自然を感じる部屋にした。
それから週に3回
現実を感じない場所、
非現実的な場所へ足を運んだ。
踏み外すことは
安定を捨てるということ。
勇気もいるし、
今後のことを考える時間もいる。
苦労は付き物。
私はこれから
日常からのはみ出ものとして
好きなように非現実を歩き回る。
これが私の踏み外した後の
最初の1歩目。
"Good Midnight!"
っていうのが
通りすがりの人の物語。
物語の結末はみんな決まってるけど
さて、
さっきみたいな
どこかの誰かさんの物語の始まりは
どんな風になっているんだろう。

4/17/2025, 4:06:35 PM

静かな森に
静かな情熱が響き渡る。
「気」だ。
扱える者には肉体強化やIQの上昇など
気で出来ることが豊富で使いやすいが、
扱えない者は変に気を出して
山火事を起こしたりする。
情熱がひとり歩きしたり、
イメージがあやふやだったりね。
私は扱えこそしないが、
暴走はしない。
私の気は人畜無害なのだ。
だから私は使えるようにするため
たまに森で練習をする。
全身に行き渡る気を想像して
手先から出てくるこの気を
どうしたいかイメージ。
そして手でどうかしたい所に触れる。
すると気は力を貸してくれる。
でも私の気は一向に力を貸してくれない。
コツを教わっても効果なし。
一般人より
少しだけ上ということになったけど、
正直使えるのか使えないのか
はっきりして欲しい。
"Good Midnight!"
全く…。
気とは気が合わないようだ。

4/16/2025, 3:45:05 PM

あーあ。
またやっちゃった。
川で洗濯するはずが
どういう訳か滝へ来てしまった。
勘違いの多い私の人生。
やろうとしたこと、
言われたことを
頭で勝手に別のものに変換してしまう。
メモをとってもメモを無くす。
こんなんで一人で
やっていけるわけない。
もちろんその通りだった。
最初の頃は草原の川近くで
暮らしてたけど、
ネブラスオオカミが
たまたま通りかかった時に
私を哀れに思って
この白雲峠まで案内してくれて
ここでなら輝けるかもよ?
と言って去っていった。
その言葉は絶対信じないようにしてた。
結果はわかりきってた。
私が一人でやっていけないなら
大人数でも一人で足を引っ張るだけだ。
非力なので力仕事もできない。
不器用なので服を作ることも、
人見知りなので団体行動をすることも
私にはできなかった。
そんなある日、
遠くの声に耳を傾けると、
誰かが読んでいて
そっちの方向に行くと
一人のネブラスオオカミの少女が
私に話しかけてきた。
ボクさ、キミにぴったりの場所知ってるんだけど。
ついにここから追い出される時が来たか。
そんな考えは嫌でも浮かんできた。
けど少女はにこっと笑い、
白雲峠の中にあるんだよ。
顔に出てたのだろうか。
私を安心させるためにそう言ってくれた。
目を瞑れと言われたので
目をゆっくり閉じると
まぶたの裏に古い鳥居が見えた。
もう開けていいよ、そんな声が聞こえたので
目を開けると
そこにはまぶたの裏で見た鳥居と
同じものがあった。
奥には神社があって、
一つ目の描かれたお面、紙、竹傘をつけた人が
30人ほどそこにいた。
さっきの少女は
急に目の前に現れたと思うと
私に紙をつけた。
意外にも一つ目のところから目が見えて
転ばずに済んだ。
いきなりみんなが
手から杖を出して
常闇幻日。
そんな声が聞こえたかと思うと
今度はみんなどこかへ行ってしまった。
杖さえあればついていけるのかと
20分ほど頑張って手から杖を出すことに成功。
詳しくは言えないけど
足を引っ張ることなくついていけた。
"Good Midnight!"
勘違いする考えも私も捨て
そっと寄り添うように昔の匂いがしてくる。
ここに来てよかった。
ネブラスオオカミに会えて、
白雲峠に来れて、本当に。
輪廻を廻す私たちは
今日も常闇幻日と。

4/15/2025, 3:37:46 PM

私はどこかの誰かなあなたに
あなたの家で勝手に寝てて欲しい。
夏が近づいてきて暑い、っていうか
寒暖差が凄くて
頭がおかしくなりそうだった。
こんな毎日はどうもやる気が起きない。
まあ普通でも起きないけど。
起きれないなら寝てればいいか。
全てがどうでもよく思えた。
完全に春眠暁を覚えず状態になり、
最初に言った通りの思考になったわけだ。
けど私は
寒めの方が好きだ。
馬鹿だとは思うけど
冷房を入れた。
そこに毛布と掛け布団。
するとなんということでしょう。
びっくりするほど快適だった。
暑いと思えば足を出せばひんやり、
寒いと思えば布団をもっと被れば
あったかくなった。
ここにアイスとおしるこを加えると
尚よし。
自分の機嫌は自分で取らなきゃ。
たとえどんなにおかしな事だと思ってもね。
さすがに気持ちよすぎて
寝落ちた。
起きると正午で太陽は真上に。
いつもと同じお昼ご飯を食べ
またベッドに戻る。
嫌な日は自分でいい日に変える。
お腹いっぱいになったからか
今度はケロケロという声で起きた。
午後3時。
鳩時計ならぬカエル時計が
そう知らせていた。
この2度寝で
小さな幸せって
寝てる間にもあるもので、
自分が気づかなくても
そこにあったものなんだって
よく分かった。
"Good Midnight!"
だから今は
春恋!夏嫌!

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