今日は大晦日。
嫌いな人も
死ぬほど転けて欲しいと思う人も
みんな口を揃えて
良いお年を!という
1年の終わりの日。
寝て起きたら年を越してたなんて
よくあること。
ネブラスオオカミもその一匹。
またある者は手紙の裏に
メモを書いていないか気にし、
ある者は姉を待ちながら0.5日の中で案内を、
ある者はフクロウに似ていて
夜中まで店を営業。
それぞれの者たちが
それぞれのことをしながら
それぞれの形で年を越す。
一見普通とも言える平々凡々な文だが、
とてつもない平和が隠れている。
誰しも平和には気づけなくなるもの。
私もまたその1人と言えよう。
今年が終わり、
また新たな者に焦点を当ててみるかは
気分次第。
ここでの今年もありがとうございましたは
"Good Midnight!"
にでも置き換えようか。
さようなら、2024年の辰年。
今年最後を四字熟語で表すと
睡眠万歳!
はい、寝ましょう。
大掃除。
私がいちばん嫌いなこと。
綺麗好きだけど自分の部屋は
ハムスターの部屋のように散らかっていて
とても友人を呼べるような所じゃない。
少し服を片付けただけでは
床は見えない。
まだ10分の2といったところか。
掃除機をかけたり
窓を拭いたり
たまに物の片付け。
ちゃぶ台に晩御飯を並べ、
1年を振り返るには丁度いいくらいの酒を
一気に飲む。
まだまだ子どもみたいな頭の中は
ずっと酒が無くても寝たいと思うばかり。
唐揚げを3つ、4つと食べていくうちに
酒の缶も増えていく。
1年前から飲む量が増え
だんだん酒豪になり
酔いはそんなに回らなくなったほうだ。
そのせいで不眠。
前までは酒飲み寝落ちが日常だったから。
だけど嬉しかった。
自分の人生が
酒に呑まれるよりかはマシだと思った。
まあでも
自分は何をしているのか
やることが出来てない
1人は寂しい
リア充はクソ喰らえ
そんな感じの
悲しきシャバい考えは
ぐるぐる浮かぶ。
ひと口、ふた口と飲むうちに
考えなんかコロコロ変わってくる。
いつかは寝れると信じて
常夜灯をつけて寝る私を
起こしてくれるタイマーは
いつまで経ってもならない。
"Good Midnight!"
それならとことん夜更かししてやろう。
友人におすすめされたアニメでも見よう。
生とも死とも思える
曖昧なエンドアニメを。
首にコップのように小さく、
壷のようなものが左右についている人に出会った。
やっと生き方を覚えた頃のことだった。
その人は割り箸で叩いて
楽しそうに音を聞いていた。
私は普通を手に入れたてだったから
その人の顔に映る輝いたものが
眩しくて、眩しすぎて
離れて見ていることしか出来なかった。
綺麗な紅色のショールを巻いて
その場から立ち去る姿を横目に
みかんを買って食べた。
思ったより酸っぱくて
口の中を取り出したくなった。
もしも私が
あの人のようになれるなら
優しい人になってみたい。
飛び切りの優しいを届けたい。
まだ曖昧でぼやけてるけど
私は私を信じておく。
最後のみかんを食べて
何にでも役立ちそうなことをした。
体力作り、睡眠時間、栄養摂取
身体から作ろうと毎日必死だった。
次にその人を見かけた時は
やっとコミュニケーションの取り方を覚えた頃だった。
勇気なんかいらないと投げ捨てて
声をかけた。
裏返る話し声は震えてる。
でもその人は
落ち着いて受け止めてくれて
あんなに酷い声だったのに
歌を歌うことを勧めてくれた。
一度歌ってみようと思うことがあったが、
緊張で心臓が止まりそうだった。
顔色で察してくれたのか
その人は壺のようなものの切除手術をするか
悩んでることを教えてくれた。
似たもの同士とはちょっと違うけど、
緊張とか悩むのは一緒で
この人も人なんだなと思えた。
翌日その人の壺のようなものに
"Good Midnight!"
というラベルが貼られているのに気づいた。
墓場まで持っていくことに決めたようで。
その人らしくて嬉しかった。
そんなその人を見ていたら
歌うか歌わないかだけのことで
もじもじしてる自分を
蹴っ飛ばしてやりたくなった。
吹っ切れて歌うことを決めた私は
その人と前より仲が良くなった気がした。
前よりみかんが甘い。
優しい歌を世界へ送り出して
どこに居てもその人へ届くように。
手足が冷たくて
ちょっと息を当てただけで
凍りそうだった。
冬休みなんか
あるかないかみたいなもので、
あっても無いみたいな。
ツユさんの曲をリピートして
考えを止める。
ツユさんは12月31日に曲を消してしまう。
考え直して欲しいとか、
私みたいにならないでとか、
そういう曲は大嫌いだったのに
ツユさんの曲は違った。
MVの絵も素敵で
憧れとはまた別だけど
おすすめの曲を聞かれたら
10分悩むくらいは好きだった。
初めて出会ったのは
「くらべられっ子」。
私は少し年の離れた姉と
比べられはしなかったが、
姉はサボり上手で
口癖は「たまにはやりなよ」
まるで自分がずっとやっていたように言う。
6割私がやってるのに。
そんな姉がいるからか、
「くらべられっ子」はよく聴いていた。
最後のサビが特に良くて
クソみたいな日でも
まあ、明日頑張るか。ってなれた。
曲を削除すると聞いてから
毎日毎日ツユさんの曲を聴いた。
元々2曲に1曲は
ツユさんの曲を聴いていたけど、
全部ツユさんで耳を埋めた。
心がポカポカしたし
心地がよかった。
聴けなくなるのは寂しいけど
ツユさんが決めたことなら
私も納得できると思った。
"Good Midnight!"
音楽とか
趣味とか
推しとか
結局人生の鎮痛剤でしかないから。
あるかないかみたいな冬休みの中で
何をしたいのかもわからず
溺れるように眠る。
私は手ぶくろが昔から嫌いだ。
偶然かもしれないが
手ぶくろを付けたり
近くにあったりすると
ロクなことがない。
財布を無くしたり
3回連続で転けたり
家を出た瞬間雨が降ってきたり。
ある日、
横断歩道を渡っている時
ふと白線の横を見ると
手ぶくろが落ちていた。
あ、マズイ。と
思うまもなく
トラックが私を跳ね飛ばす。
両手脚骨折。
それだけで済んだのが奇跡とでも言おうか。
入院生活は慣れなかった。
病院の匂い、人の話し声、
薬の効果が切れて泣いてる人の叫び声、
味の薄い食事、消灯時間が21時。
とにかく全てが気になった。
毎日毎日
こんなところで寝ているだけなど
頭がおかしくなってしまう。
変なところで骨が折れてしまったので
軽い手術をしたのだが
失敗され、
一生両手脚がこのままかもしれないと言われた。
ふざけるなと思った。
そして昨夜
焼けるような痛みで眠れなかった。
"Good Midnight!"
死期が迫ってくるのを感じた今日。
苦手な従兄弟が
手ぶくろをお見舞いで持ってきた。
私は昔から手ぶくろが嫌いだった。
やっぱり手ぶくろは嫌いだ。