かかとの高い靴を箱から出す。
鏡には
真っ黒な服を着た私が映ってた。
ストレスで何本か白髪が生えたけど
髪も、
いらない気持ちも、
全部真っ黒に染め上げた。
黒はこの世で1番信頼できる色って
誰かが言ってたから。
外に出ると
風が思ったより強くて
スカートがふわりと広がった。
上の服は薄くて
少し寒い。
この家にはもう帰らないから
お気に入りの服を着て出たいと思った。
でも流石に気温には勝てないなと、
ケープを着た。
なぜ旅に出るようなことを
してるのかというと
ある人に会うためだ。
昔、
ある人と私は仲が良かったのだけど
急に会えなくなることになって
連絡も取れないって言われて
私は泣きじゃくった。
そしたらあの人はこう言ったの。
泣かないで。
きっとまた会えるよ。
今泣いてたら、
次会った時に恥ずかしくなるでしょ?
あー、あの時泣いてお別れしたなーって。
だから笑ってよ。
その時私は
思いっきり口角を上げて
にっこりと笑ってみせた。
それからは
ひとりぼっちでも
ある人に会えるって信じて
そこに居続けた。
でもほら、
向こうが忘れてるかもだから、
別に何処にいるかなんて知らないけど
動かなきゃって思った。
ある人が貸してくれた漫画は
今でもここにあった。
"Good Midnight!"
って言うあの人の声が好きだった。
旅に出るようなことって言ったけど、
しばらくは家の周りをぐるぐるするだけ。
もう少し待とうかなって。
きっとまた会えるって
言ってくれたから。
冬のはじまりを感じる寒さ。
体を突き抜けていく風が
耳や鼻や手を冷たくする。
空を拭くこの仕事。
夏は別に大丈夫だけど
冬はちょっと寒い。
縁も拭かなきゃだから、
じかんもかかるしね。
そのキンキンに冷えた手を
お風呂の中に一気に入れるのが好き。
足は直ぐに冷める。
週末だって浮かれてたら怪我しちゃう。
目をつむったら、
すぐ寝れちゃうかもね。
私は予知や予言を信じるタイプだから、
来年の災害は信じてる。
でも逃げ場なんてどこにもないし、
知り合いと出会えるかもわからない。
"Good Midnight!"
と言って
寒い夜を過ごすかも。
とりあえず
空を吹くお仕事で
誰かの心を晴れにできたなら。
悪者は一人もいなかったなんて
偽善者が使う逃げ言葉でしかない。
何かあったんなら
それは絶対に誰かが悪いから。
世の中金だけどね、
半分くらいいる
偽善者ってやつ。
嫌いだけど私もその一人だから、
文句言うことしかできないのよね。
小さい矢を沢山放たれて
それを大きな矢一本で返したら
怒られるのはこっち。
あっちはただ泣いてれば事が終わる。
何のために周りがいるのか
わからなくなるわ。
だから私
絶対謝らなかった。
同じ量のものを
先にもらったんだもの。
すぅーっと肺に入れた空気は
冬を感じる冷たさ。
嫌な時はとことん泣くけど
超邪魔だから
長くて3秒で泣き止む。
こんなつまらない人生の中で
面白い話なんて微塵もなくて
ずっと眠ってるみたいな。
努力は報われるためにするんじゃないのよね。
偽善者と似てる気がする。
餃子は熱いだけ。
タレが美味しい。
タレに餃子をつけてるのかも。
たまに思う。
こんな飽き性のやつが
偽善者語っていいのかって。
ま、コーンフレークは美味いし
別にいいか。
窓を全開にして
明日への不満ぶちまけて
言葉遣いの悪い言い方で
全て吐き出して。
"Good Midnight!"
って
寝てる人全員起こす勢いで言うんだ。
明日も明後日も明明後日も
つまらない人生かもね。
ただ、
このエピソードを終わらせないで。
あー、
明日は嫌なことばっかり!
私の楽しみってなんだろう。
最近やりたくない事しかなくて
楽しみがひとつも無いような気がする。
別にセンスなくていいし、
涙が零れてもラーメンは美味しいし、
何かに愛情を注げたら
何かが変わるんだろうけど、
それは私が
求めてるものじゃない気がするし。
曇ってた空が晴れても
晴れないものはここにあるし、
転んじまえ!って思う人は沢山いる。
クソみたいな日々だけど
大切なもの。
来世は生き物にすら
なれないかもしれないからね。
それでも嫌なものは嫌!
明日は絶対布団から出ませんわ。
もう知りませわ。
朝寒いのに起きなきゃいけなくて、
早い時間に出なきゃいけなくて、
小走りで行っても間に合わなくて、
終わるの遅かったのは仕方ないことなのに
遅刻だのなんだの言われて、
これがあと2日あるとか
無理なんだが!?
くそぉー。
こういう時に聴くのが
「メンヘラじゃないもん!」
なんだよなぁ。
なんだかんだ言って嫌なこと沢山な時は
これが一番。
ほんとログインボーナス出るようにして欲しいわ
この世界。
まあやらなきゃいけないことあるし、
明日私頑張るんで
ログインボーナス考えといて欲しいっすわ。
よし、
私の大好きな漫画の一言で
締めくくろうかな。
それではみなさん
"Good Midnight!"
私にはイマジナリーフレンドがいる。
どんな時でも一緒で、
慰めてくれるし、
無言で寄り添ってくれるし、
永遠の友情がそこにあった。
もちろん普通に友達はいる。
ちゃんと連絡も取ってるし
何回か会ってる。
その友達の1人に忠告を受けたのは
少し前のことだろうか。
そんなにイマジナリーフレンドにベッタリだと
困るのはあんただよ。
困る?
なにに困るというのだろう。
その時はテキトーに聞き流したけど、
頭の中で引っかかって取れない。
最近は物忘れが酷いのに
そのことだけはなんだか忘れられない。
メルティーキッスの抹茶味をひとつ
口に運んだ時、
なんか暑いなと思った。
顔が火照ってる気がした。
熱を測ると
36.7℃。
平熱にしてはほんのちょっと
高いかもしれない。
私は熱に弱い。
すぐに頭が痛くなって
立っていられなくなる。
熱が上がる可能性があるので
元気なうちにゼリーを買いに行った。
家に帰ってきてすぐ、
イマジナリーフレンドはオロオロしながら
私に近づいてきた。
頭痛が酷い。
クラクラする。
熱を測ると
37.0℃。
微熱の中で見たイマジナリーフレンドは
助けてくれる気配がなく、
そもそも存在しないよという目で
こちらを見てきた。
こういう時に
イマジナリーフレンドは助けてくれない、
助けられないから
忠告されたのかも。
"Good Midnight!"
スマホは届かない。
もうこのまま眠りに落ちて
いい真夜中をイマジナリーフレンドと
過ごそうかな。