るに

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11/2/2024, 11:21:44 AM

小春って
秋の終わりから
冬にかけての頃のことなんだって。
春じゃなくて。
なんだか知ってても、知らなくても
変わらないような事を知った今日、
7年ほど前に買った
クマのぬいぐるみに
オルゴールがついてることを初めて知った。
ぜんまいを回すと
よく聴く音楽が流れ、
なぜか懐かしいような感じがして
涙が出てきた。
泣き顔なんか私に似合わないと思い、
パワパフを見て
涙を乾かした。
そういえば、
ニュースで知ったんだっけ。
小春が春じゃないって。
ニュースの前に見た
「女子高生の無駄づかい」で
すごく笑ったっけ。
そんなことを思い出しながら、
開きたくないスケッチブックを開いて
持ちたくないシャーペンを持って
絵なんて描きたくないのに
嫌いなのに描く。
この世は我慢しなきゃ
生きていけないのだよ。
いつかの昼、
手紙を出した時
喋るカモメに言われたこと。
私はその通りだと思った。
我慢ばっかりは良くないとか
どっかで聞くけど
我慢しなくていい隙間なんて
私の所にはなかったな。
一緒にいたいのかも分からない友達と
一緒にいて、
分からない話に
無理に合わせて、
みんな絵を描くのが好きだから
私も好きなフリをして。
どこに我慢しなくていい隙間があって
どこが省ける私なのか
さっぱりわからない。
明日は絵の見せ合いっこしよう。
言われた時
思わず吐き気がしてしまった。
ちなみにその吐き気は今も生きてる。
苦しかった。
眠りにつく前に
期待をした。
きっと明日は
我慢しなくていい。
きっと大丈夫。
きっと、きっと。
"Good Midnight!"
翌朝
曇りで風も程よく
快適な気候。
ああ、
小春日和って
こういうことなんだな。

11/1/2024, 10:46:57 AM

Ooh, girl, don't you stop
Don't you stop 'til you get enough honey
Oh, honey, honeypie
Honey, honey, honeypie
急に「Honeypie」が聴きたくなった夕方、
歌詞を口ずさみながら歩く河川敷は
いつもより気持ちいい風が吹いていた。
私はスマホを開き、
今日あった出来事を書いていく。
いつやっても変わらないと思って、
明日の私に押し付けるのは
1日を大事に出来てない証拠だから、
毎日忙しい方が暇するよりいいって、
最近気づいた。
だからこうメモをして
証明してる。
ここに残してる。
今日の私は確かにこう過ごしたんだって。
犬の散歩をしてる人に会釈して、
少しベンチで休憩する。
いつも河川敷を歩くけど、
やっぱり家につく前にここで休んじゃう。
ここ数日ずっと肌寒い風が
髪を弄ぶから
頭はアフロのよう。
少し顔の方向をズラすと
夕日が眩しくて目を細める。
まあでも
こういう毎日が
何気に好きな時間ではある。
目を閉じて浮かんでくるものは
毎回違うけど
なんだかんだ最後にはやっぱり
"Good Midnight!"
かな。
ふと、耳飾りを太陽に透かして
甘いものが食べたくなってくる。
甘いもの、
全てを満たしてくれるような
んーハチミツ?
三連休前はやっぱりハチミツか〜。
よし、食べに帰ろう。
ベンチから立ち上がり
再び家へと歩いていく。
そろそろ鬼リピしている「Honeypie」にも飽きてきた。
だけど、
ハチミツが足りるまでやめないで。
永遠に。

10/31/2024, 11:20:22 AM

晴れた日に
ベランダに机を出して
パンと木の実を食べるの。
犬とか猫とか狐とか
みんな仲良くしてくれて、
夜も満月を見ながら
くつろぐの。
私は私の日常を
たまに手紙に書いて出してる。
どこに届いてるのかは分からないけど、
喋るカモメがいつも届けてくれる。
今日も書いて出したけど、
時々ある、体が疼く症状が出てきた。
心臓がドクドクと鼓動を早くする。
気がつくと私は
いつものポストの前にいた。
喋るカモメも目の前にいる。
あー、あの新人、
後ろ振り返っちゃったか。
まあ今日ハロウィンだし、
ちょうどいいんじゃない?
なんて、
よく分からないことを言っている。
なにを、いってるの?
なんだか上手く喋れない。
まるで口がいつもより大きいかのように。
何って、キミのことを言っているんだよ。
わかるよ。
どのネブラスオオカミもそういうんだ。
おおかみ?わたしが…?
そうさ。
全く、キミも他のオオカミも
自分の理想郷を手紙に書いて
出すのをやめないから、
ボク超頑張ってるんだけど?
人間は本来、獣族が見えてはいけないからね。
手紙を見て振り返ると
獣族が月を見た時のように
変身してしまうんだよ。
ほら、キミ今オオカミだろ?
わたし、いかなきゃ、いけない、の?
うん。
お腹が空いてきたでしょ?
せっかくハロウィンだし、
トリックオアトリックとでも言って
食べてきちゃいなよ。
ハッとした。
いつの間にか私は、
知らない建物の中にいて
知らない人がいて
私は口を大きく開けている。
なんでまだ食べてないんだっけ。
あ、そうか。
喋りにくい口を少し閉じて
目の前の人にこう言う。
"トリックオアトリック"
やっぱりあの人やらかしましたか。
ワタクシちゃんと注意しましたからね?
ほんとに
掃除するの誰だと思ってるんですかねえ。
ま、今日は帰らせてもらいますかね。
では、
3日前に入ったばかりの新人さんに
ご冥福をお祈りして。
"Good Midnight!"

10/30/2024, 10:34:18 AM

どうしようもないくらい
悲しい日も
もうこれ以上ないくらい
笑った日も
懐かしく思うことができたのなら
それは確かに大切な日々だったって
言えるんだ。
どの日も私で、
どんな気分でも私。
お腹は空くし、
転ぶ時もあるし、
登れない壁もあるし。
あー、
お腹が減ってたらいけないね。
おっと、
すぐ近くに電話が!
そんな時は迷わず
ピザを注文!
トマトソースたっぷりの
マルゲリータを丸々一枚食べる。
食べ物なんて全部同じ、
お腹に入ればなんでもいいと思ってた。
でもピザを知っちゃった!
ピザを食べてる時間は
楽しくてしょうがないの!
パスタ?ラーメン?
なにそれピザが1番!
8等分にカットしていったら
人生のバランスが取れてる感じ。
ひとくち食べたら
もう手が止まらない。
ピザパーティーもいいかもね。
美味しいものを
シェア、シェア、シェア。
ほら、私もうワクワクしてきた。
だって今日は
週の中間だよ?
こんなの食べるしかないでしょう?
ストレスなんて
8等分にして
食べてやればいいのさ!
"Good Midnight!"
ドミノピザ、ピザハット、ピザーラ、
沢山のピザ屋さんのチラシを抱えながら
受話器を手に取る。
さぁ、次はどのピザを食べようか。

10/29/2024, 11:46:50 AM

むかしむかし
ある所に
10月29.5日に迷い込んだ
少女がいました。
真っ赤な着物のワンピースを着た少女は
底が高い草履を
カラン、カラン、と鳴らしながら
暗闇の中を歩いています。
すると前から
薄紫色の着物を着た
綺麗な女性が歩いてきました。
おや、お嬢さん
もしかして招かれたのかい?
さっきまでもう少し遠くにいた女性は
気がつくと少女の前に立っていました。
驚きを隠せない少女は
ビクビクと震えています。
怖がらないでいいんだよ。
私は優しい魔女なのさ。
招かれた者に
いい呪いをかけるのだよ。
と、
少女の背中を叩くと、
さっきまでの震えが
嘘のように無くなりました。
少し耳が変わったり、
羽が生えたりするけど
別に構わないよね?
お嬢さん、こういうファンタジー
好きみたいだし。
女性がふっと人差し指を一振りすると
少女は白い光に吸い込まれていきました。
これは少女が
後に平安と呼ばれる時代から
平成や令和を生きる
もう一つの物語の始まり。
気がつくと少女は
ひんやりとした
家の中にいました。
両手を広げると
腕に羽が何枚も着いていて、
頭は羽毛のようにふわふわ。
耳も羽です。
そう、
フクロウに似た人になりました。
どうやらこの家からは
出られないようで、
部屋の中には雑貨がいくつもありました。
そこにはノートも置いており、
中身は外に出なくても
勝手に人が来るように
店を開けと書いてありました。
おそらく女性が書いたのでしょう。
それと
人間関係が記されていました。
スマートフォンも置かれており、
LINEでは何人かに
店を開いたと報告してありました。
これは客が来てしまうと思った少女は
雑貨屋を開き、
隅では得意な料理を活かした
小さなカフェを営業しました。
詳細を何人かに送り、
カウンターから外を見ます。
店に入ってくる客は
耳や羽が見えないようで、
少女から恥ずかしさが消えました。
女性が仕組んだのでしょう。
全員顔見知りのようでした。
なんでも、
少女の顔はフクロウに似ているので
覚えやすいんだとか。
客が帰る際
少女は決まってこう言います。
"Good Midnight!"

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