るに

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むかしむかし
ある所に
10月29.5日に迷い込んだ
少女がいました。
真っ赤な着物のワンピースを着た少女は
底が高い草履を
カラン、カラン、と鳴らしながら
暗闇の中を歩いています。
すると前から
薄紫色の着物を着た
綺麗な女性が歩いてきました。
おや、お嬢さん
もしかして招かれたのかい?
さっきまでもう少し遠くにいた女性は
気がつくと少女の前に立っていました。
驚きを隠せない少女は
ビクビクと震えています。
怖がらないでいいんだよ。
私は優しい魔女なのさ。
招かれた者に
いい呪いをかけるのだよ。
と、
少女の背中を叩くと、
さっきまでの震えが
嘘のように無くなりました。
少し耳が変わったり、
羽が生えたりするけど
別に構わないよね?
お嬢さん、こういうファンタジー
好きみたいだし。
女性がふっと人差し指を一振りすると
少女は白い光に吸い込まれていきました。
これは少女が
後に平安と呼ばれる時代から
平成や令和を生きる
もう一つの物語の始まり。
気がつくと少女は
ひんやりとした
家の中にいました。
両手を広げると
腕に羽が何枚も着いていて、
頭は羽毛のようにふわふわ。
耳も羽です。
そう、
フクロウに似た人になりました。
どうやらこの家からは
出られないようで、
部屋の中には雑貨がいくつもありました。
そこにはノートも置いており、
中身は外に出なくても
勝手に人が来るように
店を開けと書いてありました。
おそらく女性が書いたのでしょう。
それと
人間関係が記されていました。
スマートフォンも置かれており、
LINEでは何人かに
店を開いたと報告してありました。
これは客が来てしまうと思った少女は
雑貨屋を開き、
隅では得意な料理を活かした
小さなカフェを営業しました。
詳細を何人かに送り、
カウンターから外を見ます。
店に入ってくる客は
耳や羽が見えないようで、
少女から恥ずかしさが消えました。
女性が仕組んだのでしょう。
全員顔見知りのようでした。
なんでも、
少女の顔はフクロウに似ているので
覚えやすいんだとか。
客が帰る際
少女は決まってこう言います。
"Good Midnight!"

10/29/2024, 11:46:50 AM