夜風に吹かれながら山を登る。
暗い暗い山道を月明かりを頼りに進む。
山の上の小さな公園のブランコ。私のお気に入り。
眼下に見える人々の生活の証。
ゆっくりブランコを漕ぎながら考える。
明日はどんな日になるだろうか。
『夜景』
空が泣いている時は、
この世界のどこかで誰かが悲しんでいるとき。
空が笑っている時は、
この世界の誰かが喜びに満ち溢れているとき。
笑って、泣いて、怒って、楽しむ。
そんな美しい感情を持つ人間を世界が愛しているから、空が感情を持っているのだと。
私はそう思ってやまない。
『空が泣く』
勇気を出して言う「LINE交換しませんか。」
あの子のコードを読み込むとき鼻先をスッと通った風が爽やかな柑橘のような香りを運んだ。
家に帰ってドキドキしながら
「よろしくお願いします。」
少し経ってつく既読と、可愛らしい猫のスタンプ。
これからどんなメッセージを送ろう。
あの子はどんな言葉を返してくれるかな?
『君からのLINE』
夜明け前。
じわじわ空が暗闇を吸っていく。
月と星にさよならをしなくては。
太陽が昇っていく様子は瓶から溢れ出した蜂蜜みたい。
世界が少しずつ目を覚まし始めた。
新聞配達のお兄さんがカタンと郵便受けを鳴らす。
今日はどんなニュースがあるかな。
パンケーキにたっぷりの蜂蜜をかけながら読もう。
少し眠いけれど…。今日も素敵な1日を。
『夜明け前』
教室の黒板の横。
担任教師によって貼り付けられたそれを、私はどうしても好きになれなかった。
その大きな数字が4になったとき、みな私の知らない道を歩み始める。
ムードメーカーのあいつは就職して。
真面目なあの子は内部進学を。
気になるあの人は県立の大学へ。
体感の時間と違って、それは決まった日に捲られる。
ときには早く、ときには遅く。
暑くても、寒くても、雨でも、雪でも。
お願い。もう少しだけ待って。
数字が進む前にあの人に伝えたい。
「____。」って。
『カレンダー』