mia

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9/3/2025, 11:16:26 AM

その音が鳴ると
もう一度鏡と見つめ合って
“大丈夫”であることを確認する

そして
22:46と浮かび上がる液晶を
真っ暗にした部屋の中で視界に入れ
着信の通知を盗み見る

その瞬間が罪深く甘い

緩みそうになる口元をきゅっと結んで
暗闇の世界へと踏み入れる

階段を降りるリズムに合わせるかのように
心臓も強く脈打つ

コン、コン、と助手席の窓を鳴らす

無音の車内に座ると
頭にあたたかな手のひらが触れた

おつかれ

とだけ言って離れていく大きな手

それはいつもの出発の合図


過ぎゆく街灯の微かな光さえ
いやに反射させる薬指の金属

絶対に外さないその輪っかにさえ
救いようもないほど私の心は熱くなっていく

溶けてしまえそうなほど
溶けてしまいたいほど

8/30/2025, 10:00:07 AM

心の中の風景は
今の私が見ている風景のすぐそこに貴方がいる、
そんなありもしないもの

それはいつまでも心の中にだけ存在する風景

許されざること
知られてはいけないこと

何気ない日常であろうと
旅先の見知らぬ街でも
横断歩道でも
海でも

貴方が隣に居たら
そのすべてが
どんな風に見えるか
って

8/24/2025, 1:22:23 PM

見知らぬ街
それは、貴方の住む街

こんなとこあるんですね、
と私が呟くと
うん、俺も最近知った、
と答えた

奥様とよく来られるんですか、
とは呟けずに
少し開いたままの口へ
ペットボトルを近づける

緊張で乾いた口の中が
ほんの少し潤う

どう?最近は
といつものように呟いた声に
妙に懐かしさを感じて
つい頬が緩む

それに気付いた貴方はまた、
ニヤリと笑って
なに、
と呟いた

ふふふ、と笑うと
ふふふ、って、と真似をされた


終わるのが惜しい

8/15/2025, 12:47:51 PM

もうさ、惚れないわけないんだよ
貴方という人に

人として、ほんとうに惚れてるんだよ

ああ、馬鹿になって

「え?????めちゃくちゃ惚れてるけど!!!!!!!」

って言っちゃおっかな

あーあ。

8/9/2025, 11:52:49 AM

19:48
問題のない時刻
見慣れた車からの見慣れない景色

これは偶然
これはどう考えても偶然

指摘されるような問題は一切無い
ハンドルを握る貴方のただの気遣い

少しの無言が心地悪い
何か話さなきゃとぐるぐる考えても言葉に詰まる

赤信号で止まり、少しして貴方の声がした

「あと30分くらい、です」

「...はい、なにとぞよろしくお願いします...」

あと30分も一緒に居られるのかあ、
そんなことを考えた

顔が熱くなりそうで貴方にたずねる
「窓少し開けてもいいですか」

「うん」

青信号に変わりゆっくりと動き出す

生温い風を感じて
貴方の隣を感じた

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