mia

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6/19/2024, 12:46:34 PM

ちぇっ……なんでよりによって
コイツと相合傘なんだよ

「そんなあからさまに嫌な顔するな」

「だってえー俺のはじめての相合傘ぁ〜」

「そんなに嫌ならびしょ濡れで帰ればいいだろ」

「……すんませんっ、入れてください!」

天気予報、雨なんて言ってたかな〜
ミスったな〜

「つーかお前の傘デカイな!めっちゃ良いヤツっぽい」

「父さんから譲り受けた」

「ほぇ〜かっけえな」

「……そうかよ」

「お前のお父さんが、な」

「……分かってるよ」

言われなくても分かってるよ
俺はかっこいい部類の男じゃないってことくらい

「んまあ!でもお前にもこの傘似合うな!入れてくれてあんがとな!マジ助かる!」

分かってる
こういうところがずるいって

6/18/2024, 1:33:38 PM

底が無ければ
止まることなく

どこまでも
いつまでも
落下し続けていく

落ちていくことを
楽しんでいるかのように

もしも突然、底が現れたら

跳ね返るのだろうか
弾け飛ぶのだろうか
一瞬にして砕け散るのだろうか

この思いは、どうなるのだろうか

6/17/2024, 6:42:26 AM

また1年経ったときに
今の激動を懐かしく思うのだろう

今だって1年前を懐かしく思う
早いなぁ、とも思う

だからきっと今のことも
そうなってくれるだろう

その為に今を生き抜くのだ

6/11/2024, 3:03:54 PM

街で見かけたアイツは
自分には見せない笑顔で

大事な彼女に手を繋がれ
猫を被っていた

俺は嫉妬している

きっと俺と会っているときの方が
アイツの本性が現れているという自負があった

けれど思い返せば
あんな無邪気な笑顔を俺には
見せるはずがなかった

ああ、くそっ。
今すぐぶっ壊してえ。
そんな猫被りの笑顔なんて
作れなくしてやる

6/9/2024, 12:25:51 PM

カーテンを開ける音がした気がした

直後にまぶたの先に光を感じた

ゆっくりと目を開けると
まだ見慣れない天井だった

あ、そうか、泊まったんだった

宿主の姿を完全には開き切れない目でやっと探すと
先程カーテンが開かれた窓際に立ち眩しそうにしていた

「まぶしくないの」
起きたばかりの掠れた声でつぶやくと

「まぶしいね、おはよう」
とこちらを振り向きながら答えた

私にはその笑顔が眩しかった、なんてね

「おはよ、」
と眠い目を擦りながら返すと

宿主は私がまだ重い頭を沈めている枕元に膝をつき
髪を撫でてくれた


まるで朝日の温もりのような穏やかな手で

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