結局、人間は太陽の下で働くのが一番良い。
(太陽の下で)
今年の秋口、偶然立ちよった雑貨屋で一目惚れしたセーター。
この新しいセーターで、誰と会ってどこに行こうか。
(セーター)
「どうすれば、サンタさんに手紙が届きますか?」
母親の見舞いに来た少年が、帰りがけに私に聞いた。
「それなら、僕はサンタと知り合いだから、手紙は僕が預かって、彼に渡してあげましょう」
少年が去った後、私は医局で手紙を読んだ。
「サンタさんへ
お母さんの、手じゅつにひつような、おかねをください。
ぼくのお母さんは、びょうきで、入いんしています。びょういんのせんせいは、お母さんは手じゅつをすれば、またげんきになるといいます。でも、ぼくのうちには、お父さんがいなくて、手じゅつにひつような、おかねがたりません。なので、ぼくは、お母さんの、手じゅつのおかねがほしいです。おねがいします。
かわりに、ぼくのたからものをあげます。お母さんが、ぼくのためにつくってくれた、オレンジいろのマフラーです。まくらもとにおいておくので、どうかもっていってください。
サンタさんも、ひとりでこどもたちのいえをまわるのは、たいへんだとおもいますが、このマフラーがあれば、さむくないとおもいます。がんばって、こどもたちにプレゼントをとどけてください。」
後日。
私は、長く厳しい手術を終えたその足で、待たせていた少年のもとへ向かった。
「メリークリスマス。昨日、サンタは来ましたか?」
オレンジ色のマフラーを巻いた少年は、目に涙を溜めて首を横に振った。
「ああ、やっぱり。実は、僕のところにこんなものが。封筒に書かれているのは、君の名前ですね。きっと、サンタはあわてんぼうだから、配る先を間違えたのでしょう。
さあ、読んでごらんなさい。」
少年が手紙を読み終えるのを待って、私は言った。
「行きなさい。お母さんが、君が来るのを待っていますよ。」
少年は、母親のいる病室へと一目散に駆けていった。
「少年へ。
知り合いから手渡された、君からの手紙を読みました。そして、すぐに君へのプレゼントの準備にとりかかろうと思いましたが、ひとつ、大変な問題がありました。それは、君からのプレゼントが、君の望むものに対してあまりにも高価な、価値のあるものだということです。
もし、君からの手紙をあの医師に見せたなら、彼はきっとこう言うでしょう。
『なんてことだ!このマフラーは、手術費用よりもずっと、大変に価値のあるものではないか!』
このように、君の宝物は、何にも変えられないほどの価値を持つものです。そして、それは君のためにあるものですから、そのマフラーは、ぜひとも、君のもとになければならないのです。それに、私には立派な髭がありますから、君のマフラーは、私ではきっと持て余してしまうでしょう。君の心遣いは本当に、とても嬉しく思いますが。
君の宝物をもらうかわりに、ぜひとも君に約束してほしいことがあります。
お母さんが元気になったら、君は、毎日学校に行き、よく勉強して、友達とも仲良くしなくてはいけません。大きくなったら、お父さんの分までお母さんを助けて、二人で仲良く暮らさなくてはいけません。そうして、お母さんを安心させてあげなさい。
君たち二人の幸せを、心から願っています。
サンタより」
(宝物)
〈アロマ・キャンドル〉
キャンドルに火をつければ、どんな夢でも思いのまま。
キャンドルの火が消えるまで、見たい夢が見られます。
夜の妖精たちが心を込めて、ひとつひとつ手作りしているよ。
さあ、扉をあけて。
お代は、ほんのお気持ち程度。君の大事なものを、少しだけ。
夜の妖精1「ああ、これね。蝋に植物を混ぜてるんです。え?◯麻?いやいや、そんな危ないもんじゃないですよ(笑)ええ、法律で規制されてないヤツです。あ、でも、大◯よりずっとイイんですよ、本当に見たい夢見れる感じで。あくまでも感じ、なんですけどね(笑)ええ。いや、それはちょっと。何か教えちゃったら、ちょっとややこしいことになっちゃうんで(笑)う~ん、まあ言えるのは、違法にならないのをいくつか掛け合わせてる、ってことですね。いや、そこは(笑)秘密です。」
夜の妖精2「お客さんは大半が女性です。若い女性。基本、若い女性にしか売らないですね。いや、お金じゃないんですよ、お取引の条件。え?いやいや、察してくださいよ(笑)ま、あれです、中にベッドがあるんで、そこでしばらく過ごしてもらいます。ええ。そこでもアロマ焚いてるんで、お客さんの苦痛も全然ないはずですよ?気持ち良くなってる間に全部終わるんで(笑)で、その間にぼくたちも気持ち良くなれるっていう(笑)ある意味Win-Winですね。まあ、こっそり撮影はさせてもらいますけど。お取引の記録のためと、あとはまあ、ね(笑)たま~に、男性のお客さんにも売ります。いい女の子、見つけて連れてきてくれればですね。そこんとこは結構厳しいですよ(笑)」
(キャンドル)
「また会いましょう」
人は、人であるというだけで、必ずひとつは嘘をつくように定められている。
この嘘のつけない真の正直者は、数多の嘘つきたちから社会不適合者の烙印を押される。
私?私は嘘つきで結構w
たとえ腐った世界でも、私は生きたい。
(また会いましょう)