雪だるま

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11/10/2023, 2:15:04 AM

「もしもし?うん、なに、どしたの?(笑)……え?うん、今仕事終ったとこだから、…お開きになったら連絡ちょうだい、迎えにいくわ…うん、いや、良いよ別にそんなこと気にしなくて、久しぶりなんでしょ?…うん…うん…もうちょっと楽しんできなよ、次またいつ会えるかもわかんないんだからさ。…うん、…え、私!?私はいいよ(笑)…うん、よろしく言っといて……はいはい、じゃあ、また後で。」


恋人との通話を切る。地下鉄のホームで電車を待つ。





ドンッ














地下の深淵は、つんざくような悲鳴にも似た車輪の音に包まれる。
その時、脳裏に浮かんだのは、あなたの



(脳裏)

11/9/2023, 9:10:18 AM

ある事柄に対して、それが意味のあることなのか、それとも無意味なことなのか、そんなことを考えている瞬間が、一番意味がないことなのかもしれない。

(意味がないこと)

10/27/2023, 9:50:12 AM

バタンッ

A:本っ当むかつく!信じらんない!
B:ちょっと、帰ってきたらただいまくらい言いなさいよ。
A:…あんた、それじゃあもうお母さんじゃない。色気も何もあったもんじゃないわ(笑)
B:うるさいわね、あんたも似たようなもんでしょ。そんなことより、今ちょうどご飯出来たところだから、早く手ぇ洗って着替えて来なよ。話は食べながらゆっくり聞くわ。
A:わかった、40秒で支度する!


食卓にて

B:んで?さっきは何をそんなに怒ってたわけ?
A:そうそうそれよ!あいつら私が彼氏いないことをいいことに、「愛言葉って、知ってますぅ~?」とか聞いてくんの!しかも業務中よ!こっちは仕事できないあんたらと違って忙しいの!!喋ってる暇があるならちょっとは手ぇ動かせって話よまったく!
B:あー…とりあえず、あんたは一ミリも悪くないことが判明した。
A:でしょ!?
B:うん。それであの、あい、言葉って何?合言葉じゃないの?
A:違う違う。こうやって書くの、「愛言葉」。
B:へー、なんか……ううん、続けて?
A:愛言葉は、恋人同士とかで、お互いの愛を確認し合うために決める合言葉なんだけど、なんか、こういうことするカップルって絶対上手くいかないと思わない?わざわざ言葉で確認しなくても、本気で信頼してる相手だったら問題ないでしょ。
B:まあね(笑)でももし、私が愛言葉決めたいって言ったら、あんたはやってくれるでしょ?
A:え?うん、そりゃあ、あんたがそれで幸せならね。でも、こういうのあんた絶対すぐ飽きるじゃない。三日ももたないでしょ。
B:うん(笑)私から言い出しといてなんだけど、多分明日には忘れてる(笑)
A:だいたいさ、そんなもんで縛り付けてまで愛を確認したいってことはさ、相手のこと全く信用してないってことでしょ?信用できなくて不安だから、言質を取って安心したいっていうか。
B:だろうね。でも、GPSとかもそうなんだろうけど、それされた方としてはさ、愛が重く感じるのはもちろんだけど、相手から全く信用されてないって言われるようなもんじゃん?そりゃ百年の恋も醒めるわ。
A:うちではお互いに全部喋ってるもんね、今日の出来事。
B:そうだね、それがGPS代わりか(笑)
A:あいつらも私たちみたいにすれば良いのに(笑)そしたらもっと幸せになれるかもしれないのにね。
B:…あんたってさ、本っ当、いい人だよね。
A:えー(笑)ありがと?
B:あのさ、
A:しってる。
B:え?
A:それをあんたから言いたいのもしってる。
B:……
A:待ってるから。あんたが準備できるまで、いくらでも待てるから、私。それまでは、このままでいよう?
B:…うん。ありがとう。あと少しだけ、待っててほしい。
A:うん!


B:あのー、同僚さんたちには私は"彼氏"ってことで話してもらっても……
A:誰がそんなことするかぁ!!ボケェ!私があんたとのこと誰にも話してないのは、あんたを一人占めしたいからなの!それ以外に理由なんてないんだから。それに、、いまさらでしょ?(笑)
B:(笑)それもそうだね!

















後日、海外に生活の拠点を移した二人が決めた愛言葉は、日本語で「ただいま」「おかえり」だということです。



(愛言葉)

10/21/2023, 5:08:32 AM

始まりはいつも、絶望から。


(始まりはいつも)

10/10/2023, 12:06:49 PM

カーテンコール、満員の観客を前に、いつも気丈に振る舞っていた君の涙を初めて見た。

そうだよね。君の友人が練習への無断欠席を繰り返したせいで、本当はその友人がやるはずだった役はただのOGである私に頼まざるを得なくなって。私がその役をやることになっても、君は最後まで、この役は彼女にやってほしかった、と言っていたね。
頼りにならない先輩たちと、なにも知らない後輩たちを一人で引っ張っていかなきゃって思い込んで。誰にも頼らず孤独に頑張ってきたんだよね。辛かったね。よく、頑張ったね。

でもね。
本当は、私の前でだけ泣いてほしかった。私が君の異変に気づいて、声をかけたその日に。その日君は頑なに、笑顔で、大丈夫です、としか言わなかったけれど。その笑顔の裏に、人知れず抱えた苦悩があったことを、私は知っていたよ。きっと、私の聞き出し方が良くなかったのかな。あの時、もっと上手に話せたら、君は本心を打ち明けてくれたのかな。


私は、すでに泣きすがるべき胸を持っている君を見ながら、そんなことを思っていた。

















一度だけ、年下の男の子からの好意を利用して、遠回しに君に気持ちを伝えたことがある。
その時、君は笑いながらこう言ったね。
「男性の◯◯先輩より、女の私が選ばれたってことですかwww◯◯先輩、完全に脈なしじゃないですかwww」


(涙の理由)

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