『二色の絵の具から別の一色を作るように、好きと嫌いを混ぜ合わせたら、後に残るのは何だろうか?』
ゴードンの若く純粋な好奇心は大いに沸き立った。彼は実に情熱的に研究にのめり込んでいった。しかし研究をはじめてしばらく経った頃、彼は突如としてその研究を止めてしまった。彼は、心配して訪ねてきた友人のマックスに言った。
「いや、もう研究は止めだ。こんなことをして何になるというのだ」
ゴードンは、今では研究を始めた頃とはまるで別人のようだった。かつては純粋に輝いていた瞳は老人のように光を失い、全てに対して無関心になっていた。
マックスは過去のゴードンの情熱を継いで彼の研究を続行した。ゴードンの残した研究記録を隅々まで読み込み、現在の-まるで廃人同然になった-彼の様子を毎日事細かに観察した。
マックスは、その後長い年月をかけてゴードンの研究を完成させた。マックスは最後に、若き日のゴードンが記した研究記録の最終ページに研究の結果を書き加えた。
『絶望』
(好き嫌い)
人間の堕落を知った神は激怒した。そして、人の世に二度と光が射さぬよう、太陽を隠してしまわれた。
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一人の少女が、人々の嘆きの声と永遠に明けない夜の闇の中、神に祈りを捧げた。神は彼女の純粋な願いに心を打たれ、彼女の命と引き換えに、人の世に再び光を与えることを約束された。
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ふと目覚めた少年は、もう長い間暗闇に閉ざされていた世界に一筋の光が射しているのを見つけた。人の世に、再び朝が来たのである。人々はこれを単なる奇跡だと喜んだが、少年は、少女の命が朝日に姿を変えたことを知っていた。
少年は生涯、この時の温もりを忘れることはなかった。
(朝日の温もり)
世界の終わりに君となんていてあげない。
僕の世界が終わっても、君の世界は続くから。
僕の世界は僕一人で終わらせる。
いつか、君の世界から僕が消えたとしても、君には君の世界でずっと笑っていてほしい。
でも。
もしも何かの間違いで、君の世界が僕の世界よりも早く終わってしまったら。
君の世界が終わるのと一緒に僕の世界も終わるだろう。
だから僕は、今宵も部屋の窓から月を眺めて祈る。
「君の世界が、僕の世界よりも長く、幸せでありますように」
~名前のある猫~
(世界の終わりに君と)
「私、こうくんのこと、好き!」
「僕も、ひまちゃんのこと、大好き!」
「一緒だね」
「うん、一緒だね!僕たち、結婚しよう」
「それは駄目」
「えっ…」
「結婚する前に、まずお付き合いしないとね」
「おつきあい?」
「うちのママが言ってたの。でね、お付き合いするにはね、ある合言葉が必要なんだけど、こうくん分かる?」
「ええ、わかんない…」
「あのね、こうやって言うんだよ!『ひまりちゃん、ぼくと、おつきあいしてください』」
「わかった!えっと、『ひまりちゃん、僕とお付き合いしてください』」
「うん、いいよ!」
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探しています:
三好航輝くん(5)
早瀬ひまりちゃん(4)
6月4日午後5時頃、この公園に二人でいるところを目撃されたのを最後に行方が分からなくなっています。お心当たりの方は下記連絡先までご連絡下さい……
(誰にも言えない秘密)
「ママだいすき!」
「ありがとう!ママも○○のこと大好き!」
「ほんと!?」
「本当。さあ、そろそろねんねの時間だよ」
「ママもいっしょ?」
「うん、一緒にねんね。じゃあ電気消すよ」
「はーい!ママおやすみ~」
「おやすみ」
安アパートの狭い部屋。
ここが親子の生きる場所。
(狭い部屋)