『二色の絵の具から別の一色を作るように、好きと嫌いを混ぜ合わせたら、後に残るのは何だろうか?』
ゴードンの若く純粋な好奇心は大いに沸き立った。彼は実に情熱的に研究にのめり込んでいった。しかし研究をはじめてしばらく経った頃、彼は突如としてその研究を止めてしまった。彼は、心配して訪ねてきた友人のマックスに言った。
「いや、もう研究は止めだ。こんなことをして何になるというのだ」
ゴードンは、今では研究を始めた頃とはまるで別人のようだった。かつては純粋に輝いていた瞳は老人のように光を失い、全てに対して無関心になっていた。
マックスは過去のゴードンの情熱を継いで彼の研究を続行した。ゴードンの残した研究記録を隅々まで読み込み、現在の-まるで廃人同然になった-彼の様子を毎日事細かに観察した。
マックスは、その後長い年月をかけてゴードンの研究を完成させた。マックスは最後に、若き日のゴードンが記した研究記録の最終ページに研究の結果を書き加えた。
『絶望』
(好き嫌い)
6/13/2023, 6:23:30 AM