星からすれば人の一生なんて刹那の時間で過ぎるよ、そんなことを言いながら長い人生の暇つぶしに何をしようかと求人票を見ながら悩む君ほどには選べる身じゃないんだ。惰性のような日々を繰り返しながら後悔を積み重ねている。選ばれし君の人生にはそれ相応の苦難と栄光があるのだろうと思いながら、ただ流されながらここまで来た身にはろくな道がなさそうに思える、だからといって流れに逆らえるだけの力すら蓄えてこなかったのだから。星を眺める帰り道でなんとなくこの瞬間に終わっても諦めのつく自分の人生の無価値感にため息をついた。
地域おこしを願って流れ星に願いをかけたら願いが重すぎたのか田んぼにそのまま星が落ちた。次の日ニュースで隕石落下と話題になった、微妙にかなったような気がすると思いながら地域おこしにどうつなげるかで会議は踊る。
今日の心模様がとどめ色のようにどんよりとしているのはなんとなく小さなことがうまくいかないのが重なっているからだろうなと、考えながら駅の改札を通ろうしてICカードの残高不足で止められる。こういうのだよこういうのだよこういうの。ちょっと気をつければどうにでもなるような些細なミスがひたすら重なると気分がどこまでも嫌な気持ちになっていく。別に大きな事件でもなくただただ地味に嫌な気持ちを感じながらチャージしようと財布を開けたら財布のチャックが壊れていたのか小銭がバラバラ散らばっていく。ああもう。
たとえ間違いだったとしても白いシャツの日にカレーうどんが食べたい日もある。
雫が落ちる音がする。洞窟の中を案内人が先導する。足元を踏み間違えないようにそろそろと進もうとするたびに地面の硬さとデコボコの地形を靴を通して足に感じる。また雫が落ちる反響するように共鳴するように。青紫の光を感じながら歩む。暑いからと涼みに行こうと言い出したのは自分だけれど、洞窟に誘われたのは予想外だった。薄暗い中、ひんやりとした空間と水気を含んだ土の匂いはずいぶん別の世界のようだ。そんなことを考えていたら足先を飛び出た岩場で強打した。痛みで血の気が引く気がしてますます涼しいむしろ寒い。