【言葉にできない】
『溶けた言葉』
「そうよね…誰よりも街を愛してる貴方だから、わたしはずっと……」
その呟きは誰にも聞かれることなく、存在ごと空気に溶けていった。
【誰よりも、ずっと】
『ずっと相棒』
あの騒動からはや数ヶ月。あれだけボロボロになってしまった街は、皆の協力もありすっかり綺麗な街に戻っていた。
…街は綺麗に戻っても、傷ついてしまった人の心までは完全に戻らないだろう。でも、皆必死に前を向いている。
「終わったね、全部」
「あぁ、そうだな」
隣に座っている彼が穏やかな顔で頷く。窓の外を見ると子供が元気に走り回っていた。
同じように窓の外を見ていた彼が口を開く。
「ここまで街を回復出来たのもお前のおかげだよ。ありがとう」
「…え、えぇ?な、何よ急に、そんな改めてお礼言われると…」
急な感謝の言葉に戸惑う私を見て、彼は笑うばかりだった。
「…でも、全部が終わりじゃない。まだまだオレたちにはやることが残ってる」
真剣な顔で呟いた彼は「でも…」と言葉を続ける。
「オレたちなら大丈夫だよな!」
彼に拳を突き出される。
「これからもよろしくな、相棒!」
そう言いニカッと笑う彼の拳に私も拳を合わせる。
「もっちろん!」
【これからも、ずっと】
『疑問』
彼は夕日を見つめていた。その背中がなんだかいつもより重く見えて、声をかけるのをためらってしまう。私がいるのを気づいていたのか彼が「なぁ」と言葉を発した。
「…なぁに?」
「あと何回この夕日を見られると思う?」
その問いかけに答えらない私を置いて、彼は言葉を続ける。
「いつまでこの生活を続けられる?いつまで俺は戦い続けられる?……俺は本当にあいつに勝てる?」
こちらに問いかけているように思えたが、それは彼の自問自答に近いように感じた。何か嫌な気配が背中を撫でる。
彼の名前を呼び、腕を掴んでこちらに向かせた。でも彼の目はいつもより虚ろで、目が合っているはずなのにまた別のものを見ているようだった。
完全に夕日が沈み、暗い空が私たちを包んだ。辺りが暗くなったことにより、彼がどんな表情をしているのかもうわからなかった。
【沈む夕日】